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ドラゴンレース  作者: 社聖都子
4/6

ドラゴンレース4

画面が切り替わると、レース前の様子が映し出された。

「さあ、こちらレース前ですね。10頭揃っております。いやー大きいですよねー!!騎手の皆さんが乗っているんですが、米粒みたいですね。ホントに乗ってるの?って言うくらい。この時点で大迫力ですが、この後この10頭が一斉にスタートします。はい!よーい!どん!!スタートで抜け出したのはグランブレイブでした。猛スピードで駆け出します。羽ばたくところから始まる翼竜や地面に潜る土竜と比べてスタートダッシュしやすいですよね。100,000kmという距離を2日足らずで走破するわけですから平均時速3,000kmです。騎手の体を守って進むわけで、ドラゴンってすごいですね!ホントに!!さて、レース序盤はお互いけん制なしのエリアなので正ににスピードを競うことになります。このスピードエリア20,000kmを圧倒的なスピードで制したのはグランブレイブでした。スピードエリアはあまり大きな障害物もなく進みやすいですからね。この後山とか出てくると、レグモンドの独壇場になりますから、その前に差をつけておきたいグランブレイブ。狙い通りのスタートダッシュ。そしてここからお互いに何でもありのエリアに入ります。まぁ、お互いに何でもありのエリアに入るというか、コースの自然環境の方が何でもありむき出しで牙を向きますからね。進んでいる各チームからしたら、身を守るための攻撃がほとんどになりますね。」

「結局、他の一頭と小競り合いしちゃうと、他のドラゴンに抜けだされちゃいますし、基本的にはある程度距離を取ってコースとの勝負ですよね!ドラゴンレースの醍醐味というか!」

「そうなんですよね!ドラゴン自体が非好戦的な生物なので、無駄な攻撃を仕掛けようとするような騎手だとそもそもレースに出れるようなチームワークにならないのも大きなポイントで、これほど力溢れる大迫力のスケールなのにお互いに攻撃しあうみたいなシーンはほぼないのも特徴です。レース終盤で競ってる時くらいですかね。果たしてこのレースではそんなシーンが見れるのか。レースは沼地に入ります。この沼地、戦闘で入ってきたグランブレイブはなんと迂回します!最初からチームで決めていたことなのか迷いなくという感じですね。沼地の1000km手前あたりから徐々にゴールに対して斜めに走り出し、沼地エリアを避けて走りました。この間に翼竜バースが沼地上空を突っ切ってトップに立ちます。また、レグモンドも沼地を泳ぐようにまっすぐ突っ切り、フレアドラゴンも同じく沼地上空を突っ切ります。沼地エリア通過時点で、トップはバース、2位がレグモンド、3位がグランブレイブ、4位がフレアドラゴンという順位。そしてこのレースに衝撃が走ります。沼地エリアに7位で入った土竜モーガニオンなんですが、なんと、」

「うわーーーー!!!」

「いやー心臓に悪いですよね。すさまじい瞬間でした。もう一度スローでお送りします。ここですね、沼地を先ほどのレグモンドと同じく泳いで進行中に、沼から巨大な手なのでしょうか?いきなり水柱が立ってつかみ取られたようにも見えます。モーガニオンともちろんここに騎手の方も乗っているのですが、このまま手のようなものに掴まれたような状態で沼に引きずり込まれます。そして、沼地が」

「おおおー!!」

「強烈に光りまして、その後モーガニオンが沼から出てきます。ここでモーガニオンはリタイアとなりました。騎手の方は命に別状はないとのことです。」

「モーガニオン自身は大丈夫なんでしょうけどね。騎手の命を守ってリタイアというのが凄いですよね。ドラゴンの自我性と言ったら良いんでしょうか。ドラゴンという生物と人間が意思疎通して、尊重しあって、レースというものを成り立たせているのがホントにすごいなと思います。」

「思わずスタジオも声が上がってしまうそんな衝撃シーンをお送りしましたが、レースの方は続いております。沼地から地盤こそ固くなりましたが、危険と隣り合わせの大森林エリアを抜けていきます。この森林地帯、森が凄くてですね。…見ました!?今の!!森林の上を飛んでいたのがフレアドラゴンなんですが、そこに向かってツル植物がビュン!と伸びてきてるんですよね。フレアドラゴンはそれを察知して急浮上するんですが、その高度近くまでツルがもう一度伸びてきます。ドラゴンなので、もっと高いところ飛べばいいんじゃないかとも思いがちですが、忘れてはいけません。人が乗っています。恐らくこの急浮上も相当の負担になったのではないかと思われます。この後フレアドラゴンは徐々に高度を下げながら、森に大きな火炎弾を撃ち込みます。これです!」

「うおー!!!」

「これはすごい迫力ですねー!森が大火災ですね。」

「そう思うじゃないですか、何が不思議って燃え広がらないんですよね。」

「おぉ!ホントだ!自動消火システムですね。どうなってるんですかね。」

「いやぁ、不思議ですよね。私にはわかりません。とにかく、この火炎弾の攻撃によって大森林をけん制したことになったのか、その後は大森林の上を無事飛行していきます。ただやはり、これは結構な負担があったのでしょう、フレアドラゴンは結構速度を落としまして、大森林通過後には6位まで順位を落とします。さて、この後、大森林エリアの終わりにそびえたつ崖と大瀑布が待っているのですが、その前にCMです。」

テレビがCMに映ると家の中ではシアへの質問タイムに入った。

「シア騎手!!この時実際どうだったんでしょうか?」

と、サラがシアにマイクを持ってる風の握りこぶしを向ける。

「そうですねー。実はこの時のことはあんまり覚えてないんですよね。あとで、フレアから教えてもらったのですが、私は気を失っちゃったらしいんですよ。」

ノリの良い姉妹だ。

「えー!!大丈夫だったの?」

「あれ?もういいの?インタビューごっこ。」

「いや、それどころじゃないでしょ!」

あっという間に通常の会話に戻る。

「まぁやっぱり気圧と酸素濃度がやばいよね。ああいうのは。ショック状態になるので。ただ、騎手は龍のお肉食べてるからね。私もフレアの翼をちょっとかじってるから、耐性がちょっとできててああいうの、一応無事なんだよね。フレアも気にしてくれてて、画面だと分からないけど、上に飛び上がる前に羽から高温を出してくれてるんだよ。で、その高温によって発生した上昇気流に乗って上にあがってるので、気圧はそこまで急激には下がってない感じかな。下がってるけどね、もちろん。気を失った原因は気圧よりも酸素かな。たぶんだけど。」

真面目なかつ心配そうな面持ちで他の3人がシアの話を聞いている。

「とフレアが言ってた。」

と茶目っ気たっぷりの笑顔でシアが一言加えた。シアとしては笑って欲しいところだったが、爆笑とはならなかった。もちろん、シアが騎手になるまでに危険に対する覚悟は家族で決めて今に至っているのだが、実際に危険に瀕すると家族はドキッとするものだ。そうこうしているうちにCMが終わって番組が再開した。


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