表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

第1章ー8話 街デート①

「タロー。待った―」


振り返ると、こちらに走ってくる人影があった。

こちらに向けて振る手の太さ。砂煙が立つほどの走るスピード。肩には女の子を乗せている。

うん。間違いなくクレオだ。


「お待たせ。タロウ」

「普通に登場することはできないんですか」

「馬鹿を言え。俺は、元とはいえ勇者だぞ。普通にするなんて無理だ」


胸を張るクレオに「そんなこと威張られても」と、肩を落とす。


「お父さんは、バカだよね」

「マナよ。世の中の父親はみんな親ばかなんだよ」


クレオは、肩からマナを下ろすと、その頭をクシャクシャと乱暴に撫でる。

今日は、昨日の約束通り、調査の準備として街を一緒に回ることとなっている。

鬼や魔女に関する調査だ。いろんな場面に備えなければ。自身が調査に出るわけでもないのに、高揚感から肩に力が入る。


「おっ。タロウ。気合十分だな。初デートって感じでいいじゃねえか」


豪快に笑うクレオに「笑えない冗談はやめてくれ」とつぶやく。


「デート?今日は、タロウとデートなの?」


マナの言葉に、クレオの表情は一変する。


「違うぞマナ。マナはお父さんとデートだ。あんな芋男は気にしなくていいからなー」

「言いたいことを………。マナ、今日はよろしく」

「うんっ!」


マナと握手をしようと手を伸ばすと、クレオに手をはじかれた。クレオは歯をむき出しにして、狼のように唸っている。


「それで、どこから回る?」

「まあ、焦るな少年。まずは腹ごしらえと行こうじゃねえか。なっ、マナ」

「腹が減ってはー、だね」


どこでそんな言葉を。

マナの方を見ると、満面の笑みに言葉に出すことはやめた。


「行くぞー」

「おー」 


元気な親子に引っ張られる形で、調査の準備は始まった。



「俺が、勇者になったのは、俺にその道しか残されていなかったからだ。いわゆる敷かれたレールを走るってやつだな」


待ち合わせの広場から元気よく出ると、最初に目に入った東方料理店に入り、


「このライ麺ってのは絶品だな。雷のように縮れた麺がスープと絡んでたまらん」

「おいしー」


と、替え玉を親子そろって3玉を食べ終えたころ、突然クレオが語りだした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ