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第1章ー4話 正しいことだ

勇者とは何か。

意見を交わした後、「娘が限界のようだ」と、クレオはマナを抱えて立ち上がった。


「楽しい時間をありがとう、タロウ。俺は、一週間程この街に滞在する予定だ。旅支度を整えたい。そこで、タロウに頼みがあるんだが、明日もここで会えないか」


思わぬ誘いに驚いたが、それ以上に嬉しかった。人に頼られるというのは嬉しいもの。それが元勇者のクレオとなれば尚更だった。


「もちろん!」

「おお!そうか。会ってくれるか。では、明日。この酒場で同じ時間に」


クレオは、マイアーにチップを指で弾いて渡すと、「釣りはいらねー」と言って酒場を出ていってしまった。


「はは。嵐のような方だな~。さすが元勇者といったところか」


チップを受け取ったマイアーは、クレオの座っていたテーブルを片付けに来て言った。


「で、どうよ。クレオ様は。遠目で見た限り面白そうな人だったけど」


俺に話を振っている間も、マイアーはテキパキとテーブルを片付けていく。


「最初は、厄介なおっさんだと思ったけど、娘思いの良いおじさんだったよ。明日もここで会おうって誘われた。何か頼みがあるって」

「おおー!なんだ。タロウにしては珍しく、初対面で気に入られてるじゃねえか。生意気な!」


マイアーはそう言って、俺の肩を叩いた。


「痛いよ。でも、頼みってなんだろ?もうちょっと、詳しく聞いておけば良かった…」

「もしかして、冒険のお供だったりしてな!」


マイアーは、そこで「ガッハッハ」と、大きく笑い声をあげた。


「冒険のお供!無理だよ、俺には。毎日の配達だけでヒーヒー言ってるんだから。

そんなことよりも、マイアー。マイアーは、勇者の条件って何だと思う?」


不意に気になったので聞いてみた。

意外な質問に動揺したのか、さっきまで忙しく動かしていた手が動きを止めた。一瞬の静止の後、マイアーは、手に持った食器類をワゴンに乗せると、俺の方を向き直り言う。


「そいつは、正しいことだ」


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