第1章ー3話 勇者問答
「タロウは、勇者の条件って何だと思う」
今まで、娘の自慢話や料理の感想や娘の自慢話や娘の自慢話ばかり話していたのに一体どうしたというのだろう。
急に真顔で質問され、俺が黙っていると、クレオが口を開いた。
「俺はこの通り力で勇者まで上り詰めた。勇者が悪に屈してはならん。力こそ正義である、と。
だが、娘が、マナが生まれた。人の成長を心から喜ばしく思った。そして、娘と冒険へ出た。
まだ、峠を1つ2つ越えたくらいだが、世界をゆっくり見つめ直し、俺は今、かつてなく揺らいでいる。
なあ、タロウ。勇者って何だと思う?」
クレオは、話をしている間、ずっと遠い目をしていた。横で眠ってしまったマナに添える手も動かすことはなかった。
「勇者ですか…」
その言葉が、俺の喉を絞る。
「勇者の第一条件は、揺らがないこと、だと俺は信じています」
少しの後ろめたさが、クレオ目から視線を外させる。声も少し震えていたと思う。
「はあ~。そうか…」
目を伏せていると、頭上からクレオのため息が届いた。恐る恐る視線を上げると、緩んだ表情のクレオの顔があった。
その表情を言葉にすることは難しいが、なぜか涙が出そうになった。
「いい答えだ、少年。いや、ヤマダ・タロウ」