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慈愛
瓦礫まみれの町の中をひとりの少女が歩いていた。辺りには彼女以外の人影は見当たらない。そこにあるのは崩れた建物や壊れた戦車。生活の跡をがらくたが覆っているだけだった。きょろきょろと首を振りながら、彼女は南から北へと歩いていく。とても静かな町に鳴るのは彼女の足音のみ―――。
ふと、何かが聞こえた。少女は立ち止まって耳を澄ませてみた。
泣き声だ。子供の泣き声が聞こえる。瞬時に位置を特定し、彼女はくるりと向きを変えると声の方へと歩を進めていった。
屋根と壁の大部分を失っている住居跡の片隅に彼らはいた。小さな男の子と、さらに幼い女の子。男の子が女の子を守る様に抱きながら、ふたりは縮こまって泣いていた。
「……君達だけ? お父さんやお母さんはいないの?」
少女は子供達に優しい声で尋ねてみる。男の子が震えながらこくりと頷いた。
「そう……可哀想に……ずっとふたりでここに隠れてたんだね。怖かったね……もう大丈夫だよ」
慈しみを込めた柔らかな笑みを浮かべながら彼女はゆっくりと子供達に近付いていく。
「痛いのはほんの一瞬だけだから」




