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夜明け

 ナオトに手を引かれたままルナは彼のラボへと連れて来られた。そのまま素早く地下まで階段を駆け下りていく。

「ナオト……どうするつもり……?」

「言っただろう、君達を処分させない。壊させてたまるか、僕の最高傑作を」

「で、でも……じゃあどうすれば……」

「君が決めるんだ。これからどうするか、どうあるか……僕はそのきっかけをこれから君達に与えるだけに過ぎない」

「どう、あるか……」

「ここまで付いてきたという事は、君自身もまだ壊れたくないと思っているんだろう?」

「それは……わからない……」

「さあ、着いたよ」

 研究室のひとつのドアを開けて彼は照明を点ける。部屋の奥には何やら大掛かりなドーム型の装置が設置されていた。扉がある事から中に入る事が出来る様だ。

「何ダヨコレ」

「これから君達を外の世界へと逃がす……いや、世界の外へと言うべきか」

「世界の外……?」

「ドウイウ意味ダヨ」

「この星の外……つまり、他の惑星という事さ」

「……そんな事が出来るの……!?」

「終戦から今日までのおよそ1年半、僕が何もしてこなかったとでも思ってるのかい? あいにく僕はそんなに暇じゃない。君達が抗戦や内乱の鎮圧、復興支援に行っている間も僕はずっと研究をしていたよ。来たるべきこの日のために向けてね……簡単に言うとこれは転送装置さ。どれだけ離れていても、転送先の座標さえ固定してやればほとんど一瞬……この星での体感時間で例えるとだけど……で空間を移動する事が出来る……はずだ」

「不確定ダナ」

「しょうがないだろう、実験なんて一度も出来てないんだから……でも理論上では可能のはずなんだ。敵ながら解世軍はとんでもない技術を遺してくれたよ。まったく、わくわくしてくるね」

「解世軍? アイツラノ技術ヲ使ッテルノカ?」

「iの世界だよ。君達を数式として解析、データ化し、虚数化する事でiの世界に落とし込む。そして予め設定していた座標に再び実数として固定化してあげる事で全く違う場所へ飛ぶ事が出来るという訳さ……いずれはiの世界を一時的にこちら側に引きずり出して、装置ごと転移出来る様になる。僕なら1年で完成させられるね」

「ナルホド。サッパリワカラン」

「君達が世界中で収集してきた空間データを参考にして、極力この星に近い環境の惑星を既に転移先に設定してある。ログは残らない様になってるから後から特定される事は無いはずだ。どうせこのままここにいても壊されるんだ。少しくらいは僕に賭けてくれ」

「ナオト……」

「さあさあ、早く入って入って。いずれここも抑えられる……全てが手遅れになる前に。あ、すまない、せめて何か布切れでも調達しておくべきだったね」

 言われてルナは自分がずっと裸のままでいる事を思い出した。廃棄寸前でナオトに連れ出され、服を着直す余裕が無かったのだ。ガルダはルナの肩から飛び降り、彼女の掌の上に収まった。

「でもそんな時間はもう無いな……さあ、入るんだ」

「ナオト! あなたはこれからどうなるの?」

「僕の事は気にしなくていい」

「でも! ……! え……!?」

 躊躇うルナの動きがぴたりと止まった。突然身動きひとつ取れなくなった事に動揺したまま装置の中へと強引に押し込まれる。

「ナ、ナオト……!」

「おそらく軍部による妨害電波だろう。君の機能を停止させようという訳だ……ガルダ、ルナを頼んだよ。しっかり守ってやってくれ」

「メンドクセエケド世話ハ見テヤルヨ」

「ああ、頼もしい限りだ」

 ナオトは微笑むと装置の扉を閉め、ロックをかけた。そしてパネルを操作して数秒の後、起動音が鳴り始め転送準備が開始された。

「……ねえガルダ……私達これからどうなるのかな……」

「サアナ。壊レル可能性ガ少シハ低クナルッテ事グライシカ言エネエヨ」

「……」

「マ、少ナクトモ俺ハ絶対ニオ前ヨリ先ニ壊レネエカラナ。ソレダケハ約束シテヤルヨ」

「……うん、ありがハッキングヲ確認シマシタ」

「!? ル、ルナ!?」

「保護ノタメ、システムヲシャットダウンシマス」

「オ、オイ! ルナ!」

 装置の動作音がより激しくなった。


「さてと、銃はあんまり得意じゃないんだよなあ」

 装置の外。転送の設定を全て終えたナオトは懐からハンドガンを取り出しルナとガルダに背を向ける。廊下が騒がしい。軍部の人間がもうすぐそこまで迫っている。この作戦に協力してくれた部下達は果たしてどうなっているのかわからない。

「出来るなら君達を最後まで見届けたかったよ……行っておいで、僕の子供達」




 This is the prologue.











「うわっ! お、女の子……!?」

 何も無い空中に突如ばちりと火花が走り、驚いて少年は足を止めた。そしてその異様な光景を見て真っ先に鼻孔を塞いだ。




 To be continued on LUNA:2016.

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