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中編

挿絵があります。灯条残花です。よしおか様コミッション作品となります。

挿絵(By みてみん)


「ちぇえええい!」


残花が弾丸のように恐ろしい速さで大鉈を振り抜く。

バンテインは上に飛び上がり天井に逆さまに着地して後退する。


「あいつも示現流を使うのか。しかし無茶しやがる。援護しねえとな」


残花に対して銃撃が来るが残花は逆に接近して一人叩ききるとその死体を盾にぐるりと回って後退する。

志郎は狙いをつけるゾンビに向けて棒手裏剣を投げ、手を破壊する。


「逃がすと思うのかね!私も銃くらい撃てる!よく見えるぞ!」


バンテインは懐からマイクロウージーサブマシンガンを取り出すと無差別に弾丸をばらまいた。

残花は転がり回って避けるが、いずれ撃たれてしまうだろう。


「おっとそうはさせん。坊主、すまんおぬしの道場を壊してしまうが許せよ」

「もうさんざん壊れてる。それに、死ぬよりはましだ」

「わっはっはっ、すまんな!では喰らうが良い!」


ぬうん、と勢いをつけて孫八が丸太を投擲する。丸太は天井に刺さり、屋根ごと崩落させた。


「遅い!遅すぎるぞマゴロクくん!唯一の武器を手放していいのかね!埃臭い!掃除したまえよクーガーくん!」


埃とがれきで一瞬視界が遮られ、そしてがれきで何人かが潰され、敵と志郎達の間に遮蔽物ができた。


「今だ!魔女さんは雑魚共になんかデカいのぶちかませ!なるだけ早く!

終わったら皆で突撃だ!雑魚を散らす!」


残花のその顔は凄絶な笑みと血で彩られていた。明らかに血に酔っている。

その様子に苦いものを感じながらもファウストの二人はうなずいた。


「それから剣士のあんた。手裏剣も使えるんだな?こいつを渡しとくよ。

刺されば爆発する。なかなか面白い小道具だろ?」


残花は数本の投げナイフを放り投げて渡す。


「危ねえな、刃物を投げて渡すな」

「言ってる場合かい?それより魔女さんの術式が終わればあたしとあんたで突撃な。皆殺しだ」

「……わかってる」


そして魔女である琴美の詠唱が終わる。


「ハイル、西の風ゼフィルスよ! 無意識の海を司る女神達よ、我に力を与えよ!」


がれきの向こうの敵軍に向けてカマイタチの渦が放たれた。

首や手が落ち、吹き飛ばされる。


「今だ!いくぜ!」

「応!」


剣士ふたりが突撃をかます。猿叫と共に突撃していく様はまさに薩摩者であった。


「ちぇえええい!」

「ちぇすとおおお!」


志郎が首を落し、残花は袈裟懸けに胴体ごと両断する。

剣の嵐が吹き荒れ、あっという間にゾンビはいなくなった。


「なぜ死ぬのかねゾンビ君!苦労して集めた術者のゾンビが無駄になったではないかね!

なぜゾンビになった程度で術が使えないのかね!」


上下逆さまで狂乱するバンテインに斬花は冷静に答える。


「そりゃあんた、術者だからに決まってんじゃねーか。支配率が弱いんだよ。

そうなってでもそいつらは抵抗してたんだ。気づいてたろ?剣士さんもよ」

「ああ、妙に遅いとは思ってた。そういうことか……」

「なるほど勉強になった!作戦は兵の3割を持って全滅、撤退とする!

というわけでさらばだ!」

「させるかよ!」


ゾンビたちが見えない糸のようなもので手繰られ霧のように消えようとしている。

だがここで一手を打ったのは魔女だった


「祝福をもって汝を傷つける司祭があれば、汝は彼に二倍の害をなすがよい」


呪いを解き、言祝ぐ言霊によりバンテインの支配が解けていく。


「我が名において!魔女の女王ディアナの名において!」


そして、術者達の怨念がバンテインに殺到した。


「馬鹿な!そんな未熟な魔女の術で私の支配が解けるなど!」

「その人達はそうなってもあなたに抵抗していたわ。だから、私だけの力じゃない。

これはあなたの身勝手に傷つけられた者達の恨みと知りなさい!」


どすんとバンテインが床に落ちてもがく。


「さあ、狩りの終わりだ。ちょっと死んでんじゃねーよ。とどめだ!」


残花が大鉈で首を落す。


「吸血鬼には心臓を杭で射貫くといいそうだな。ならばこれほど良い杭もあるまい!」


孫八がごんぶとの丸太で胴体ごと胸を、心臓を押しつぶした。


「があああ!その程度で不死者を殺せると思うのかね懺悔君!力士君!」

「だから封殺する。再生のコントロールタワーになるあんたの首をもらっていくよ」

「やめたまえザンニーニ君!わたしを……」

「やかましい」


首だけになってもまだ喋るバンテインの口にダクトテープを巻き、さらに呪符を貼り付けてその上からダクトテープでぐるぐる巻きにする。


「よし静かになった!あんたら、悪かったな……修理費はこっちの経費で落ちると思うから領収書まわしてくれ」

「とびっきり豪華に修理してやるよ。目を回すなよ?」

「終わった……のかしら」

「ああ、我らはこれよりここの片付けを行う。君たちはこの近くのホテルで泊まるが良い」

「いや、ファウスト本部で泊まるよ……」


かくして、ファウストは狩人を知ることとなった。


ファウストのお二人があんまり活躍できなくて申し訳ない……

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