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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第3章

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90回目 攻略は呆気なく、とりあえず面倒はこれで終わりだろうか

「我々の配下である森園家のスミレが、我が家の名前を出したようで。

 なので、そのまま放置というわけにはいかなくなりました」

「それで俺を呼び出したと」

「はい。

 そして、あらためてスミレに頭を下げさせ、今回の一件を終わらせようとしました」

 カオリの呼び出し理由はこれだった。

 先日の問題を解決するため。



「それが俺を呼び出した理由?」

「その通りです」

「そんな事で?」

「はい」

「馬鹿馬鹿しいな」

「全くです」

 そう言ってカオリはため息を吐いた。



「でも、あれはスミレが俺に突っかかってきたのが原因だ。

 文句があるなら、あいつに頭を下げさせろ」

 トモルとしてはそこが納得いかない。

 カオリは「スミレに頭を下げさせ」と言っている。

 トモルに頭を下げさせるのではなく。

 トモルがスミレに頭を下げろと。

「なんでそうなるんだ」

「貴族のたしなみなので」

 それが理由のようである。



 上位の貴族が下位の者に頭を下げるわけにはいかない。

 しかし、問題は問題として発生してしまってる。

 なので、事のいきさつはどうあれ、トモルが悪いという事にしてあやまらせる。

 それで問題の解決にしようとした。

「ふざけるな」

 トモルは怒りをおぼえた。



「あやまるのはあいつだ。

 俺じゃない。

 あやまるのはあいつだろ」

「かしこまりました」

 トモルの言い分にカオリは素直に従った。

 魔術の影響によるものだろう。

 でなければ、カオリがこんな事を受け入れるわけがない。



 だがカオリは、

「後でスミレに言い聞かせ、無礼の詫びをさせに行かせます」

と言った。

 貴族の序列からすればありえない話である。

 しかし、精神介入を受けてるカオリはそれを当然のものと考えた。

 だが、トモルはそれを止める。



「ああ、それはしなくていい」

 カオリの提言をトモルは拒否していく。

「そんな事をしたら何があったのかって誰もが思う。

 だから、表立っては何もしないでいい。

 ただ、勝手に家の名前を持ち出すなって叱っておけ」

「分かりました。

 スミレにはそのように仕置きをしておきます」

「まあ、思いつく限り徹底的にやっておいてくれ。

 なんなら森園の家を潰すくらいに」

「では、そうします」

 平然と言い放つカオリに、躊躇いなどは全くない。

 指示を待つ機械のように無表情であった。



「あと、女子を使った売春だけど、それも止めてくれ」

「分かりました。

 そのように手配をしておきます」

「けど、誰が参加していたのか、客が誰なのかは教えてくれ。

 分かる範囲で構わないから」

「では、早速書き出しておきます」

 カオリはそれも受け入れていく。



「女子に積極的に客をとらせていた親とかも、いるなら書き出しておいてくれ」

「では、それも合わせて」

「もし今後も女子を出せって言ってきたら、あんたと取り巻き達が客の相手をするんだ」

「かしこまりました。

 仰せの通りにします」

 とんでもない事をカオリは受け入れていく。

 だが、トモルは同情などしない。



 他人に酷い事を強要してたのだ。

 そんな連中がどうなろうと知った事ではない。

 むしろ、とことんまで落ちぶれて欲しいと思った。



「その際に客としてやってきた連中を、あんたの親とかに教えてやってくれ。

 ある程度まとまってから……半年くらいしてからでいいかな。

 あんたの卒業の時期あたりにそれを公表してくれ」

「分かりました」

 客が地獄を見るよう手配をしていく。

 他人を踏みにじって楽しんでた連中にはお似合いの末路だ。



「それと、客をとらされていた連中の名前も一緒に公表しろ。

 今後、その事を知らずに付き合う奴とかが出てきたら可哀相だ。

 今、婚約してる奴らもいるかもしれないが、それが無事に解消されるように」

「では、こちらで管理している女子の名簿はそのまま保持しておきます」

「婚約解消の被害とかにあう連中は、あんたら藤園で面倒をみてやれ。

 あんたらの犠牲者なんだからな」

「末代までの援助をお約束します」



 このあたり、無理矢理やらされていた者は可哀想ではある。

 しかし、何も知らずにそういった者と縁を持たされる者も可哀想である。

 なので、包み隠さず公表させる。

 その尻ぬぐいを藤園に全部させる事にして。

 全ては藤園がやらかしてたのだ。

 その後始末をつけてもらわなければ困る。



 こうして、客と売春をさせられていた者達の名簿が出来上がっていく事になる。

 学校内の組織も完全に把握する事も出来た。

 内外の手引きをしてる者達も含めて。

 トモルが把握仕切れなかった部分が、全て明らかになっていった。

 この情報は全てトモルの手にも渡り、今後に使われていく。



(すげえな、随分昔からやってたんだ)

 後日渡された名簿などからそれが判明した。

 この売春組織、藤園に代々受け継がれてきたもののようだった。

 おぞましい歴史を重ねている。

 それだけに、なかなかの規模だった。

 何一つ褒め称える部分はないが。



 吐き気とおぞましさをおぼえていく。

 誰が思いついたのか知らないが、よくぞこんなものを作ったものだと思った。

 だが、おかげで各貴族の裏側を少しは知る事が出来る。



 ついでに恩を売る事も出来る。

 こんな事に心を痛めていた者達には。

 このあたりは、立ち回り方次第だろうが。

(上手くやっていかないと)

 どう利用するか考えていく。



(さしあたって、解放した女子の家に連絡をとってみるか)

 売春を寸前で阻止した者達。

 その家族ならば、トモルを無下にはしないだろう。

 そういう所と繋がりを持てば、今後の行動が有利になるかもしれない。

(何はともあれ、人材の供給をお願いしないと)



 もし、助けた女子の家に部屋住みの兄弟がいるなら儲けものだ。

 それらを実家に送り込んで体制強化が出来る。

 辺境の弱小貴族としては、こういうツテを大事にしたい。

 人脈なんてこれっぽっちもないのだから。

 そうでなければ、縁もゆかりもない女子を助けた意味がな。



 また、客の相手はカオリ達につとめさせる。

 今まで他人に仕事を強制してたのだ。

 そこも是正していかないといけない。



「ところで、お前は男相手にした事はあるのか?」

「もちろんです」

「相手は?」

「お父様やお兄様です」

「ほう……」

 なんというか、貴族社会の酷い一面を見た。

 ロクデナシを自認するトモルも頭を抱えたくなる程に。



「とても気持ちが良かったので、他の皆様にも感じてほしいと思いまして。

 それでこの学校の女子の皆様に参加を促していました。

 とても良い機会になるかと思い」

「なるほどな」

 その考え方に戦慄をおぼえた。

 何をどうしたらそういう考えになるのか?

 トモルには理解不能だった。

 理解したくもなかった。



「でも、これからは他の連中を引き込まなくていい。

 お前達だけで独占してろ」

「はい、ありがとうございます」

 礼を言うカオリは、本心から喜んでるように見えた。

 本当にこういった行為が好きなのだろう。

 そして、それを異常だとはこれっぽっちも思ってない。



(本当に、どうしてこうなったんだか)

 それはトモルには分からない事だった。

 ただ、それも調べた方がいいのかもしれないとは思った。

 どうしてこうなったのかを。

 それを知る事で、このようにならない道を見つける為に。



 ただ、今はそれに関わってる場合ではない。

 それよりも、これから彼女らをどれだけ利用出来るかを考えねばならない。

 まだ、事は完全に終わったわけではない。

 解決の途中である。

 最低でも、今後二度と自分達の邪魔をしないようにしなければならない。

 安心して生きていくためにも、そういう状態を作らねばならなかった。



 それでも、当面の問題は解決した。

 そう思いたかった。

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