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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第3章

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87回目 ついに相手のボスのお出ましのようで(たぶん、序盤の) 2

 藤園カオリからの呼び出しは週末。

 金曜日の授業が終わってからになる。

 それを伝えに、わざわざ上級生がやってきた。

 そして朝の授業が始まる前の教室に入ってきて、これだけを伝えて去っていった。



 教壇の上に立って用件を一方的に口にしていく。

 言われた方がちゃんと聞いてるのかなど全く気にもしていない。

 伝わらなかったらどうするのかとトモルは思ってしまった。

 相手が聞き漏らしてるとは微塵も思ってないのだろう。

 仮にそうだとしても、聞いてない方が悪いと考えてるかもしれない。



(そういうもんなんだろうけど)

 上位貴族らしいと思った。

 ため息が漏れる。



 上に立つ者が入ってきたら、下の者は静かにそれを聞く────

 貴族においては当たり前とされている。

 悪い事とは言えない。

 指示を伝えるにあたり、それを静かに聞かないのは問題だ。



 何らかの指示や通達があるなら、静かに聞くのは当然だろう。

 礼儀としてもだし、それ以前の問題でもある。

 業務としても、そうしないと伝達漏れが発生する。

 それによって滞りが出てはいけない。



 やって来た上級生の態度も、それを考えれば間違ったものではない。

 指示を出す上司としてみれば、幾らか妥当なものだった。

 だが、何の前触れもなしにそれは困る。

 事前の示しもなく、いきなりやられてはたまったものではない。

『それくらい当たり前だろ』という事なのかもしれないが。



 貴族のたしなみとして、それは当然かもしれない。

 しかし、だからといって、急にやられてはたまったものではない。

(これが貴族なのかねえ……)

 呆れながらそう思った。

 少しばかり不快感を抱きながら。



「なあ」

 上級生が出ていったあと。

 思わず周りの者に尋ねた。

「上級生ってああいうもんなのか?

 いきなりやってきて、勝手に何か言って出ていくって」

「うーん、どうだったかな?」

 聞かれた者は首をかしげる。



「まあ、上級生だしね。

 そういうもんなのかも」

「それに、あの人の実家、結構な家だし」

「ああいうもんなんじゃないかな」

 そうした返事を聞くに、はっきりとは分からないようだった。

 ただ、貴族として上位にいるなら、ああいう態度もありえるのかもしれない。

 そんな事を誰もが口にしていった。



「あれが、いわゆる礼儀作法って奴なのか?」

「そうかもね。

 こっちにもそれっぽい事が書いてあるし」

 聞かれた一人が、礼儀作法指南という教科書をめくって答える。

 いつの間にとトモルは思った。



「えーと。

『目上の人がきたら、静かにして話を聞きましょう』だって」

「ああ、教科書にも書いてあるのか」

 だったらある程度は納得する。

 そう習ってるなら、そういう行動に出るのもおかしくはないと。



「けど、不意打ちみたいに来るのは勘弁だな」

 いきなり来て、言うだけ言って帰る。

 それも止めてもらいたかった。

 聞き漏らしが怖い。

 そうなったらどうするつもりなのか?

「ちゃんと聞かなかったって、俺達が悪い事になるのか?」

「教科書にはそう書いてあるよ」

「おいおい……」

 嘘だろ、と思ってしまう。



「下々は聞く姿勢を常にととのえ、何時如何なる時にも備えよだって」

「やめてくれ……」

 頭を抱えたくなった。

 まあ、静かになるのを待ってたら大変なんだろうとも思う。



 下々に限った話ではないが。

 人というのは集まれば勝手に動き出す。

 話を始めようとしても黙らないという事もよく起こる。

 それらが静かになるのをまったり、静かにさせようとするのも大変だ。

 ならば、大人しくしてない方が悪い、という事もありえるだろう。



 それでもだ。

 先ほどの上級生の態度はそういったものとも違うように思えた。

 どちらかというと、『お前達の都合などどうでもいい』といった雰囲気を感じた。

(それがあちらさんの気持ちなんだろうけど)

 下々の事など考えもしない。

 それが基本なのだろう。

(まあ、それならそれで)

 相応の態度をとってやろうとトモルは考えた。



(何にしても、今度の金曜日か)

 示された場所と時間は分かった。

 ならばその時にそこに出向くのみである。

 持ち込める全てを用意して。



(事前に何か分かればいいけど)

 あいにくと、相手の守りは堅く、取り巻きでも無い限り重要な情報は分からない。

 森園スミレ程度では重要な部分は教えられてない。

 なので、相手の手の内は全く分からない。



 だが、それならそれで出来るだけの事をするだけである。

 また、出来る限りの働きかけをして、こちらが有利になるようにするだけであった。

 相手本人はどうにも出来なくてもだ。

 取り囲む環境を味方に付けることが出来れば、打開策も見えてくるかもしれない。

(やるだけやるしかないよな)

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