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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第3章

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85回目 学校と仕事の二足のわらじ

 翌日からトモルは忙しくなった。

 昼は学校で授業を受けて、夜は支配下においた貴族の所に出向く。

 聞き出せなかった事を引き出していく為だ。

 おかげで睡眠時間を削る羽目になる。



「なあ、なんで授業に出てるの?」

 そんな疑問をトモルは同室の者から受ける羽目になった。

 彼等は入学式でのトモルを見て、彼に心酔してる者達である。

 それから取り巻きのようになっていった。

 少なくとも敵ではない。



 そんな彼らは、トモルがいない時には校内に目を光らせてくれる。

 ダンジョンに行ってる時などにはとても役立っている。

 ありがたい存在だった。

 そんな彼等にも、トモルへの疑問はある。

 わざわざ学校に通って授業に出る事もその一つだ。



「出席もしてる事になってるし。

 試験だって受けなくても適当な点数をつけてくれるんじゃないのか?」

「まあ、そんな事しなくても、柊の成績は凄いけど」

 そう言うのも、中間テストの結果が出てるからだ。



 とはいえ、トモルの点数は、決して高いわけではない。

 悪いという事もないが、称賛するほどではなかった。

 だいたい、50点から70点あたりを推移している。

 この学校では真ん中くらいの成績だ。



 だが、ろくに授業を受けずにこれだけの点数を取っている。

 しかも、勉強など一切しないでだ。

 これだけ出来るなら、わざわざ出席する必要もないのではと彼等は思っていた。

「忙しそうだし」

 学校以外で活動してるのも知っている。



 だからこそ、学校に出てくる必要があるのかと彼等は思っていた。

 無理してないか心配してもいる。



「そうしたいんだけどな」

 トモルとしても、学校に来なくていいならそうしたかった。

 だが、それはそれで不都合が生じる恐れもあった。

「授業も一応出ておかないと、何を教えてるのか分からないし」

「それが問題なの?」

「家に帰った時に、話を合わせる事が出来なくなる」

「ああ、なるほど」

 それで同室の者達も納得した。



 トモルが自分の活動を秘密にしてるのは彼らも分かってる。

 おそらく、家族にも知られたくないんだろうと。

 そんな家族に学校での事を聞かれた場合、答えられないと面倒な事になる。

 だから、ある程度は授業に出ているのだ。



「それに、学校にいないと誰かが悪さするかもしれないし。

 ある程度は目を光らせてないとな」

「確かに」

 同室の者達もそれは納得した。

 いくらトモルが強いといっても、その場にいなければ怖くはない。

 だから、にらみをきかせる為にも、学校にいる必要もある。

(意外に頑張ってるんだな)

 そんな感想を同室の者達は抱いた。



「けど、学校にいつもいられるわけでもないし。

 だから、俺がいない間に何があったのかは聞かせてくれ。

 あと、ノートも見せてくれ。

 さすがに授業内容が分からないと困るから」

「うん、分かってるって」

「それと、事件があっても手を出さないでくれ。

 俺が帰ってくるまで様子を見ててくれればいいから」

「もちろんそうするよ」

 トモルのいつもの注意事項を聞いて、同室の者達は頷いた。



 同室の者達も分かってる。

 自分達にトモルと同じ事は出来ないと。

 まだ幼いながらも、それくらいの事は判断出来る。

 だから、トモルの言うように大人しく様子を見ておく。

 そして、トモルが帰ってきたら報告をする。

 そうするしかないのだと。



 それはそれで悔しいとは思う。

 自分の無力さを思い知らされるからだ。

 だが、致し方ない。



 同室の者達には上級生を叩きのめすだけの力も技もない。

 それらを簡単にやってのけるトモルは普通ではない。

 自分達とは違うのだと理解している。

 だから、言われた事を言われた通りにやる事にした。



 それも、トモルに言われた事である。

 無理や無茶はするな。

 自分に出来る事をやればいいんだと。

 そう言われて、同室の者達の気分は幾らか楽になった。

 同じようにトモルに協力してる他の生徒達も。



「そうしてくれた方が俺は助かるし」

 その言葉を彼らは旨にしている。



「あとは実家の方にお手紙をね。

 我が家の方からお願いする事も出てくるだろうから……多分」

 付け加えるようにそう伝える。

 それを聞いて、

「ああ、それはね」

「もう手紙は送ったよ」

「返事は来ないけどね」

 同室の者達は応えていく。



 既にトモルは動き出していた。

 冒険者を実家に送り込む準備として。

 信用出来そうな生徒の実家に働きかけてもらうように。

 彼らの実家にいるかもしれない、部屋住みに甘んじてる者達に働きかけるように。



 まだ実現はしてないが、冒険者を実家に送り込んだ時の事を考えて。

 その時に、すぐに対応出来る人員を確保するために。

 その為に手紙を書いてもらっている。

 返事は期待してないが、まずは布石を打っていく。



「よろしく頼むよ」

 そう言ってトモルは頭を下げた。

「こちらこそ」

「もし良かったら、俺達も採用してね」

「学校を卒業したらね」

 そんな申し出が同室の者達から上がってきた。

「人手が足りなかったら、その時は」

 トモルはそう返すしかなかった。

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