68回目 とりあえず手に入れた手下達
冒険者の方は、とりあえず10人ばかりの手下を作った事で一区切りがついた。
今後はそれを中心にして規模の拡大などを図る事になる。
ある程度レベルを上げて独自に行動が出来るようになれば、それ以降は冒険者自身が組織を保ってくれる。
一応足りない人数を補うように指示してるので、そのように行動していくはずであった。
その際に、招き入れる者達のレベルなどは問わない事にした。
別に今の能力水準を保とうとは思わない。
それこそ成り立てほやほやの新人で充分だった。
足りないレベルはトモルがお膳立てして上げれば良いのだから。
それよりも優先してもらいたいのは、人間性の方だった。
下手に刃向かわない、指示には従うというくらいの素直さは欲しかった。
また、事の善悪をしっかり考え、悪い事はしない。
それくらいの倫理観や道徳観は持っていてもらいたかった。
技術や技量的な部分は補ってやればのびるが、こういう部分はどうにもならない事が多い。
だから、こういう部分の選別だけはしっかりやるように伝えてもいた
もっとも、これがなかなか難しい部分でもある。
人の性格や性質など一見して分からない事もある。
最初の印象でだいたい分かるものでもあるのだが、中にはこれを隠すのが上手い者もいる。
そうした者は時間をかけて見定めていくしかない。
問題がある、何かおかしいと思ったら、ダンジョンの中で始末するつもりである。
そうしなければ、組織全体が崩れる場合がある。
そうならないように注意はしておく事にしていた。
また、それ以前にこのあたりの選別基準を冒険者が分かってない場合がある。
彼等は技術や能力は重視しても、性格や人間性には無頓着な場合がある。
「そんなもん、付き合ってれば上手く馴染むもんだ」
「人間、性格の違いはあるんだから、いちいち気にしてられない」
というのがその理由だ。
とんでもない暴論である。
そんな事は全く無く、一緒にいても決して馴染めない者はいる。
それ以前に、人格が破綻してる者もいる。
生来の悪人と言うべき者もいる。
そうした者達を抱え込んでいれば将来の禍根を育てる事になる。
だからこの部分は厳しく選別していきたかった。
とりあえず新しく入れた者達はトモルも目を通す事にしている。
その段階で問題があると判断すれば処分対象にする。
あとはダンジョンまで連れていって、身柄をモンスターに引き渡す事になる。
それは選別した者達も例外ではない。
トモルが求める人材とは別の連中を加えるならば、相応の処罰は覚悟してもらわねばならない。
こういった厳しさは組織の為には必要不可欠である。
どうしても使えない者達を抱えるわけにはいかないのだから。
自分一人だけならこんなものは不要ではある。
しかし、これから集団として行動していくなら、一緒にやっていける者を求めるしかない。
それが分からない、出来ない者を残しておく事は、組織の崩壊をもたらす。
逆に言えば、能力は低くても問題のない程度の人間性を備えていれば、どんどん加入させてもらいたかった。
能力はレベルを上げる事で改善が可能だ。
その為のお膳立てなどトモルは幾らでもやるつもりだった。
それを無視して能力が低い事を理由に、まともな人間を排除すれば、これも制裁するつもりでいた。
以上の事は一応冒険者達に伝えてはいる。
だが、それがどこまで滲透してるのか、どこまで理解してるのかは分からない。
それこそ、ダンジョンに、冒険者達の所に赴く都度確認せねばならないだろう。
面倒ではあるがやるしかない。
この話を書いてて感じたり思ったりした事
BOOTHにそんなものをまとめたものを置いている
↓
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