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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第2章

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67回目 冒険者強化、あるいは手下の育成開始 3

 ただ、三ヶ月の試用期間の間に冒険者達の考えも変わっていく。

 最初はトモルと一緒にやっていくつもりだった者が、独自にやっていく事を選んだり。

 その逆にトモルと一緒にやっていく者を選ぶ者も出てきたり。

 三ヶ月の間に色々な事が分かってきた。



 トモルの出してる条件である命令が、どの程度のものなのか。

 それがあまり酷いものでもないと分かってきた為でもある。

 これなら一緒にやっていっても問題は無いだろうと。



 また、レベルが上がった事で考えが変わった者もいる。

 無理をしなければ食っていけるだけの段階になった事で、自立自活の道が見えてきた者達だ。

 それならば、一緒に辞める者達と一緒にやっていけば、そこそこやっていけるという目算も出てきた。



 それぞれが考えてこの先の人生について考えていった。

 全員がそうだというわけではないが、先々の事を考える事が出来る者は身の振り方を考えていった。

 トモルもそういった考えを否定はしなかった。

 自分の下につくにしろ離れていくにしろ、それは尊重した。

 下手に呼び止めても決して良い結果にならないと分かっているからだ。



 人には人の意志があり気持ちがある。

 無理をしてそれを曲げさせても良い結果にはならない。

 むしろ不満や憤りの温床になる。

 例えどれ程の利があろうと、理がそこにあろうとだ。

 そんなもので人がなびくわけもない。



 無理矢理従わせて、それなりの利益を与えていても、人は不満を抱き続け積み重ねていく。

 それはどこかの時点で必ず噴出する。

 たいていの場合、十中八九それは最低最悪の状況で表に出る。

 言い方を変えれば、押さえ込む力が極端に弱まるその時に噴出する事が出来るのだ。

 その瞬間にしか出てこれないのだから。

 そうなるくらいなら気持ちを尊重してやった方がマシである。



 出ていく者達はそのまま送り出してやる。

 後日、敵対するかもしれないし、巡り巡って味方として合流するかもしれない。

 留まる者達とて、いつまで一緒にやっていけるのかは分からない。

 どこかの時点で袂を分かつかもしれない。

 最悪敵対する事すらありえる。

 そうならなければ良いが、そうなる事も覚悟はしておかねばならない。



 それくらい人の心や意志というのは縛りがたいものである。

 利害関係や情理だけではどうにも出来ない。

 人にそれぞれの意志や気持ちがあり、それをもとにしてるのだから当然だ。

 例外的な存在もいるだろうが、おそらく多くの人間は譲ったり曲げたり出来ない自分というものがある。

 それがあるからこそ、離合集散が起こるのだ。



 そんなこんなを経て、トモルの下に残ったのは10人になった。

 人数は半分になったが、それでも皆無というわけではない。

 一応減った分は補充していく事にはなったが、当分はこれでやっていく事になる。

 一人当たりの負担は大きくなる。



 だが、悪い事だけではない。

 人数が減った分、分け前も増えた。

 経験値も金も残った者達に大量に分配されていく。

 それにより残った者達は早急に強く豊かになっていった。



 離反していった者達もそれほど悪い状況にはならなかった。

 トモルの所にいた時よりは稼ぎは減った。

 しかし、分かれる前にほとんどの者達がレベルを上げていた。

 それが功を奏してモンスター退治はかなり上手くやれるようになっていた。



 レベルアップの時に魔術をおぼえた者もおり、それらが戦闘を格段にやりやすくもしていった。

 トモルの所にいる時よりは時間がかかるが、それでも日々の活動を着実にこなしていった。

 手に入れる金も経験値も、平々凡々な冒険者の水準を楽に保ちつつ。



 お互いそれぞれの道でそれなりの活動を続けていく。

 今後彼等の道が交わるのか違えたままなのかは分からない。

 だが、この選択がお互いにとって最善最良であるように当事者達は願っていた。

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