529回目 ニート生活に向けての最終行程 3
霊界に外敵はいない。
敵対するような存在がまずいない。
ここで悪事を働こうと思ったら、即座に消滅してしまう。
基本的に『気』は存在し、増大しようとする。
その方向に働く性質がある。
悪事というのはその対極にある。
それを為そうとしたら、必ず他者を傷つける、損害を与える。
それは『気』の性質の対極にある。
なので、『気』を取り込む事が出来なくなる。
なので、悪事を考えたり思ったりするわけにはいかない。
それだけで存在する事が出来なくなる。
なにせ『気』は考えや思いに反応する。
善意には善意となって反応する。
悪意には悪意として反応する。
悪意とは、存在を消失させる。
そういう方向に動くものだ。
それを思えば、まず思った自分にふりかかる。
悪意や悪事を起こすことなど出来るわけがない。
やろうとした瞬間に消滅に向かう。
その為、悪人や悪党が死んで霊魂になっても、存続する事は出来ない。
たいていの場合は、『気』にのまれて消滅する。
まれに生き残る場合もあるが、それでも長続きはしない。
ただ、そうした悪意が連鎖的に『気』に影響し、霊界に悪影響を与える事はある。
長い時間をかければ、それも解消していくものだが。
場合によっては、淀みが集まって固形化される事もある。
そういった淀みや凝り固まったものが、随所に散見されたりもする。
ただ、長続きはしない。
時間と共に削り落とされ、やがて消えていく。
そんな世界なので、悪人や悪党は長続きしない。
悪意などが削り取られていく。
そうして残ったわずかな霊魂が漂う事はある。
それが巡り巡って再び生命体として誕生する事もある。
いわゆる転生だ。
それは悪人悪党だけではない。
善人であっても、膨大な『気』の流れの中に飲み込まれ、自我を失う事もある。
そうして霊魂の核だけが残り、それが転生する事もある。
ただ、悪意や害意は長続きしない。
抱いた瞬間に自らを滅ぼす事となる。
自滅自壊、自業自得。
それがなされるのが霊界と呼ばれる場所だ。
そんな場所なので、外敵を気にする必要もない。
身内の脅威に悩む事もない。
この場に居続けられるのはマトモな者だけ。
存在し続けてるというだけで、問題が無いと証明しているようなものだ。
永遠に続く安息。
それがこの場にはあった。
「いやー、落ち着く」
トモルはようやく望んでいたものを手に入れる事ができた。
そう感じる事が出来た。
周りにいる女房達と響き合いながら。




