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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第13章

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528/531

528回目 ニート生活に向けての最終行程 2

「さてと」

 一人、先に霊界にやってきていたトモル。

 トモルはそこに自分たちの居場所を作っていく。

 自分と、近しい者達の居場所を。



 霊界とは、言ってみれば材料だけの世界だ。

 エネルギーとか、物質とか、原子や分子など。

 それらの元となる『気』と呼ばれるもの。

 これだけしかない。

 この『気』が集合して、様々な原子や分子、物質などになっていく。



 そんな霊界には、特定の空間といったものがない。

 そのままだと、気にとりこまれて霊魂が分解してしまいかねない。

 なので、それを防ぐために、まず自分たちが存在できる空間を作っていく。



 そうして作った空間に、移住希望者達を集めていく。

 トモル領にいた者達は、この空間で新たな生活をはじめていく。



 といってもやる事があるわけではない。

 生命というか、存在を保つために必要なエネルギー。

 それは常に周囲にあふれてる。

『気』が常に充填されるので、霊魂はそれを糧に存在し続ける事が出来る。



 また、気候なども気にする必要がない。

 霊魂状態ではそれらに左右される事がない。

 温度や天気の変化がそもそも無いのだから。

 常に最善最適の状態が保たれてる。



 やる事がないのは確かだ。

 だが、何かをする必要がない。

 心地よい状態で常に存在し続ける事が出来る。



 強いて言うならば、より近くにいる者達の存在。

 それがより大きな快適さになっていく。

 霊魂が響き合い、調和音を発していく。

 音というのもまた正確ではないが、そうした響き合いが心地良さを増幅させていく。



 もちろん、例外はいる。

 一人でいる事を好む者もいる。

 そうした者は単独で存在する事に快適さを感じる。

 それはそれで独自の響きを周囲に広げていく。

 巡り巡ってそれが、より多くの存在、あふれる『気』に作用していく。



 そして、響きあう『気』は増幅し、分裂していく。

 新たに『気』が生まれると言うべきだろうか。

 そうして増幅していく事で、霊界は増大していく。



 それがある意味仕事と言えるだろうか。

 それをトモル達は続けていく。



「ようやく落ちついたかな」

 ふと、そう思う。

 なぜか異世界に転生し。

 なぜか絶大な力を手に入れて。

 それで好き勝手やって生きてきた。

 結果はとりあえず良好なように思えた。



 ここには無駄な騒動はない。

 煩わしい外敵はいない。

 内側の問題も存在しない。

 どちらもこの世界にまで手を伸ばしてきてはいない。

 それだけで十分だった。

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