524回目 誰もやってくれないから、自分でニート生活を作ってるのだ 7
なんだかんだで表に出る必要がなくなってきたトモル。
最近は家の中でゴロゴロしてるだけの日々になっている。
時折外に出向きもするが。
情勢によって左右される事のない毎日になってきている。
そう言ってよければ、ニートらしい生活といえる。
なのだが、ニートのくせに仕事はある。
魔術にしろ科学にしろ、何らかの理論を考える。
これが日常になっている。
「在宅ワークかよ」
ふと、そんな言葉が口から漏れた。
在宅で仕事が出来る環境にはなっている。
まだ全土に普及してはいないが、通信回線が出来つつあった。
パソコンが登場して性能が上がり。
通信回線を使ってのやりとりが出来るようになっていた。
これにより、トモル領限定ではあるが、インターネットが確立。
それが世の中を変えていきつつある。
おかげでトモルも家にいながら様々な理論を提唱する事が出来る。
発表する場所にも困らない。
だが、
「……こんなのニートじゃない」
ぼやき声は止まる事無く続いていった。
必要なのは分かってる。
研究所や様々な機関、企業などで出される研究成果。
それらもトモルの領地を大きく変えていっている。
既に宇宙探査も実現され、衛星軌道には様々な用途の衛星が設置された。
研究開発用施設も存在する。
魔術の発展による心霊・霊界研究もだ。
こちらも、魔術や魔力、その根源たる霊魂の有り様を探ってる。
それも一定の成果を得てきている。
そんな状態だが、それでもトモルの考えがまだ必要ではあった。
トモルの持つ能力と技術は、研究機関の遙か先を行く。
生きてるうちにその恩恵をと誰もが求めていた。
トモルとしても、まだ様々な事を解明したい。
そう思っていたので、とにかく思いつく限り様々な事を書き留めていく。
そんなわけでトモルは引きこもりながらも遊んでる暇がなかった。
「おかしい…………、絶対におかしい…………」
そんなぼやき声が何度も口をつく。
しかし、現実は決して変わらない。
「相変わらず、家にいても仕事してるのね」
「これじゃ、部屋の掃除も出来ない」
「護衛が楽になるのは良いのだが」
「たまには外に出てもらわないと。
神事もあるし」
女房達は部屋でパソコンに向かうトモルを見て、そう呟いていった。




