516回目 大陸統一国家との戦い 10
「終わったな」
退却の報告と現地からの映像情報。
それらを見てトモルは確信した。
敵の大軍を退けた。
これで戦争は終わった。
少なくとも当分は。
あるいは、続けて攻め込んでくるかもしれない。
その可能性も否定できない。
だが、今回ほどの兵力にはならないと考えていた。
いくら何でも、これ以上の動員は無理が大きすぎる。
国がもたない。
ただ、一方でその無理を通す可能性も考えられた。
調べてみた限り、敵国の王は兵隊上がりだ。
戦争しか知らない可能性が高い。
そういう者にとって、戦争以外の状態など想像も出来ないだろう。
もし、戦争を終わらせる事が目的なら、今回のような戦争をしかけない。
大陸をある程度統一した段階で動きを止める。
荒廃した国内の回復に乗り出す。
それが延々と戦争を続けたのだ。
おそらくそれしか考えてないのだろう。
それ以外の事が考えられないのだろう。
ならば、どれだけ失敗しても戦争を続けるだろう。
どちらに転ぶかは分からない。
だが、どっちであっても答えは変わらない。
「終わったな……」
何がどうなろうとも、英雄王の国は終わった。
今回の戦争の損害。
これが大きい。
今までの戦争の損害も馬鹿に出来ないが。
それでも、これまでの戦争には勝利をしてきた。
たとえ敗北をしても、再び戦いを挑んで勝利を得た。
だから人々はついていった。
しかし、今回の敗北はそうはいかない。
かつてないほどの規模の軍勢である。
勝利が約束されていたようなものだ。
だが、負けた。
ありえないほどの損害を出して負けた。
この事により、王を慕う者達、信じる者達の離反が出てくるだろう。
それらをつなぎ止める為にどうするか?
温情を見せるか、強圧的に取り締まるか。
あるいは失敗を誤魔化すために、再び出兵をするか。
さもなくば、慣れない内政に手を出すか。
どうなるにせよ、失敗は免れない。
戦争に踏み切れば、また損害が出る。
そうなれば国力は大きく減退する。
何せ、今回と同程度の兵隊は必要だ。
あるいはもっと兵隊が必要になる。
そうなれば、徴兵せざるをえないだろう。
そして、その兵隊も壊滅すれば、国内に不満が出てくる。
内政も失敗するだろう。
これまでやった事がないのだ。
何をすればいいのか分からない。
だとすれば、やる事なす事失敗だらけになる。
運良く成功する可能性もあるが。
それはまず無い。
となれば、失政続きで国内に不満がたまる。
それに今回の敗北。
それよる損失。
それに対してどう動くか。
温情を見せて皆を慰めてまわるか?
だが、それを軟弱とみなす者もいる。
それらが反発をする。
強制的に国内を引き締めるか?
となれば、いやでも圧政に突入する。
恐怖政治状態になるだろう。
そうなればやはり反発も大きくなる。
どう転ぶにせよ、大変な状態に陥る。
トモル達に戦争を仕掛ける余裕などなくなる。
「内乱かな」
国内における不満の噴出。
それをおさえるために軍隊の出動。
その繰り返しになるだろうか。
それをどうにか乗りこえれば、統一国家としての強みを発揮できるだろう。
だが、それが出来なければ、停滞したままの状態が続く。
せっかく統一したのに、また分裂という事もありえる。
何にしても、トモルとしてはありがたい。
これで余計な心配をしなくて済む。




