512回目 大陸統一国家との戦い 6
ヒライワツミ王国に展開したトモル領の軍勢。
その航空戦力であるジェット戦闘機は、爆弾を抱えて空へと向かった。
その姿は地球における対地攻撃機SU25に似ていた。
翼が横に広く、その下に多くの爆弾が搭載出来るようになっている。
最高速度はジェット機としては低いが、それでもこの世界では隔絶足る速度を持つ。
それらが群れをなして英雄王の軍勢に襲いかかる。
爆弾が次々に投下される。
地上にいた英雄王の軍勢は、それによって次々に爆破されていった。
特に開けた場所に密集していた敵は格好の的になった。
そういった場所には物資も集積されていたので、それもろとも吹き飛んでいった。
英雄王の軍勢を率いる指揮官は困惑した。
何がどうなってるのか分からなかった。
ただ、突然軍勢が爆発し始めた。
それが敵の攻撃によるものだと理解するまで時間がかかった。
「魔術か?」
彼らの常識に当てはめて、そう考えもした。
このあたり、今までトモルが敵対した者と変わらない。
彼らからすれば、爆発を起こす手段が魔術しかないのだから当然だ。
有効な対応策も立てられない。
相手が何をしてるのか分からないのだから当然だ。
「とにかく、出来るだけ分散しろ。
一カ所に集まっていたらまずい」
出来るのはそれくらいだった。
軍勢が分散していく。
しかし、元々が大所帯だ。
散らばろうにも無理がある。
そんな英雄王の軍勢に、容赦なく爆弾が降り注ぐ。
爆発の範囲にいた兵士はもれなく消滅していく。
ついでに機関銃による掃射も行われる。
念入りに行われる地上攻撃で、英雄王の軍勢は更に減っていく。
20ミリ機関砲によって兵は吹き飛んでいく。
それらが何度も繰り返し訪れる。
空からの波状攻撃で、英雄王の軍勢は数え切れないほどの損害を出した。
さしもの軍勢も撤退を開始する。
というより、怖気づいた者が逃げだし始めた。
それはそうだ、防ぎようがない攻撃にさらされてるのだから。
足早に逃げだそうという者も出てくる。
それらにつられるように指揮官も撤退を指示。
隣国に入り込んだ英雄王の軍勢は、敵が来ない場所を目指して後退を続ける。
敗走と言った方が適切かもしれない。
そんな軍勢を放置するわけもなく。
後を追いかけるようにトモル側の地上部隊が動き出す。
出番をまっていた機甲部隊は、逃げる敵を追いかけていった。




