510回目 大陸統一国家との戦い 4
英雄王の国はまず隣国に向かっていった。
ヒライワツミ王国についた以上容赦はしない。
徹底的に蹂躙していくつもりでいる。
隣国もこれに対して迎撃を開始。
とはいえ、それは積極的に打って出るものではない。
そんな事をしても勝てるわけがない。
塹壕陣地を作り、そこにこもる形で防衛を行なっていく。
ヒライワツミ王国との戦いで、彼らも戦い方を考えた。
戦闘車両を阻む方法を。
その為の塹壕である。
ここはヒライワツミ王国から逃れてきた藤園家の者達の智慧が生きている。
それを隣国達は国中に張り巡らせていた。
ヒライワツミ王国からの侵攻に備えて。
その備えが英雄王の国を相手に発揮される。
迷路状の溝は、大勢の軍勢をも阻んだ。
何せ国全土に張り巡らされてるのだ。
そこを越えない限り、侵攻は出来ない。
やむなく歩兵がその中に突入していく。
しかし、迷路のような塹壕を進むのは困難だ。
隣国兵はあちこちから飛び出して攻撃を仕掛けてくる。
そうかと思えば、どこへともなく消えていく。
塹壕を熟知したその動きに、英雄王の軍勢は翻弄される。
それでも多勢に無勢だ。
いかに翻弄しようとも、圧倒的な兵力にはかなわない。
塹壕陣地も次々に陥落。
隣国内に英雄王の軍勢は浸透していく。
隣国もそれを抑えきれない。
もとより、防ぐことが出来るとは思ってない。
国内に浸透してくるのは織り込み済みだ。
その際に、出来るだけ敵を撃破出来れば良かった。
水際防衛など隣国は考えてない。
そんなの、馬鹿げた妄想なのは彼らも熟知している。
防衛の基本は、敵を引きずり込んでの殲滅。
これである。
国境での敵の阻止、上陸の阻止など絵空事でしかない。
越境は必ず成功する、上陸は絶対に成功する。
阻むことが出来ないのは当たり前。
だから上陸してから徹底的に潰すのだ。
その為の用意は既にしてあった。
国内各所を陣地として使えるようになっている。
あちこちの堀や溝。
それらも塹壕陣地の一種だ。
それらを用いて、国内全土を用いて敵をすりつぶす。
元々、ヒライワツミ王国に対抗するために作ったものだった。
それを、ヒライワツミ王国の敵に使っていく。
英雄王の軍勢は、その執念に取り込まれていく。
本来ならば、あっという間にすりつぶすはずだった弱小国。
しかし、弱小国は智慧と策謀と備えで大軍に対抗する。
300万の軍勢は、思わぬ足止めを食らっていった。




