51回目 そこまでやるつもりは無かったが学校支配をしていく 2
入ってくる情報は実にありがたく、入学一週間にして教師陣の弱みを握る事が出来た。
まともな者もいるが、そうでない連中だっている。
比率でいえば、駄目な奴の方が多かった。
学校というのは生徒に評点をする立場である。
それを利用した汚職などは珍しくもない。
有力者達もそれは分かってるので、教師陣への付け届けは忘れない。
それで子息の成績を買い、学校内における評価を上げていく。
それが無ければ、それなりの評価になる。
変に突っかかってくる家の場合、そこの子供の評価を最低にする。
ただそれだけではあるが、これが結構大きい。
学校での評価が卒業後の貴族社会における立ち位置を作っていく。
なので、学校を無下にする事が出来る家はそうは多くなかった。
だからこそつけいる隙があるとも言えた。
実際はともかく、学校は出来る限り厳正に生徒を評価する事が求められる。
そうでなければ存在する意味がない。
また、適切な人材を育てる、そして才能や能力を見いだしていく。
これらも学校に求められる機能だ。
それがちゃんと動いてないなら、それだけで大問題になる。
発覚すればそれなりの対処をせざるえなくなる。
有力者にとって都合の悪い事は、往々にして揉み潰されるが。
それでも幾らか改善され、悪い部分は払拭される事もある。
えてしてそれは、教師の交代などによってなされる。
だからこそ、学校は内部における問題を隠蔽しようとする。
それなりの利権を手放そうとする者は滅多にいない。
手始めにそういった問題の幾つかを露見させていく事にした。
まず、有力者が関係してないところから。
これらは比較的簡単に潰す事が出来た。
何せ、教育関連の機関に通報するだけでよい。
それでどうにかなった。
後ろ盾がないというのは、こういう時にもろい。
また、在校生達にも協力を求める。
とりあえず家に連絡を入れてもらい、そちらから動いてもらう。
それだけでも結構な影響を及ぼした。
なんだかんだで、親の発言にもそれなりの力があるようだ。
それに、ほぼ全員が親に連絡をとったのも大きい。
一人二人からの連絡なら、学校も取り合わなかっただろう。
だが、トモルは動かせるほぼ全部の学生に連絡をさせた。
さすがに学校もこれは無視出来ない。
後ろ盾のない者達は即座に処分されていった。
職を失うだけではなく、しっかりと実刑も受けて。
トモルが入学して二ヶ月もする頃には、教師の何人かが牢屋に入る事になった。
ただ、有力者に関わる者はそうはいかない。
そういった家の出身者である教師や、それらを後ろ盾にしてる者達はお咎め無し。
さすがに簡単に追放はできなかった。
仮に罪に問う事が出来ても、どこかの段階でも揉み消される。
こういった連中には、正当な手段は意味がない。
なので、もうちょっと直接的な手段に出る事にした。
物理的な排除である。
後ろ盾のない連中の排除が進む頃には、トモルも行動の自由を得ていた。
学校の授業をさぼり、ダンジョンに入り浸る日々をおくっていた。
それくらいの影響力は掴んでいる。
誰も追及などしない。
したら命に関わると誰もが知っている。
それを利用して、邪魔な人間を連れ出す。
学校内にいる不穏分子をさらって外に連れていく。
あとはダンジョンにまで持っていけば良い。
そこでモンスターが簡単に始末してくれる。
問題教師や悪徳学校関係者は、そこで人生を終える事になる。
既にトモルに叩きのめされ、死ぬほど痛めつけられている。
それで終わらず、モンスターに取り囲まれ、食い殺されていく。
その心中はいかばかりだったのだろうか?
知る術はない。
少なくとも、トモルは知ろうとは思わない。
学校を、生徒を食い物にしていたのだ。
処分されて当然としか思わない。
やらない理由が思いつかないほどだ。
そうして問題のあった人物は、この世から消えていく。
それらは全て行方不明として処理されていく。
真相が究明できないのだから仕方がない。
永遠に見つかる事もないのに、書類上はまだ生きてるものとして扱われていく。
こうやって活動の邪魔になり、なおかつ学校生活をつまらなくする者達を排除していった。
おかげで学校はトモルにとって快適な空間になっていった。
邪魔する奴はいない、面倒な言いがかりをつけてくる奴もいない。
それでもちょっかいを出してこようとする奴もたまにいる。
だが、そういった者はたいていは上級生が片付けてくれる。
それで手におえなかったら教師などの学校関係者が対応する。
学校に残ってる上級生も教師も関係者も既に理解している。
トモルに逆らう事がどれほど危険なのかを。
彼らにとってトモルは、最悪の暴君だった。
そんな者に逆らおうと考える勇者はいない。
それでも押さえ込めない者もたまには出てくる。
有力者の子弟などがこれだ。
いくら上級生や教師達でも、家の力が強い者を押さえつけるのは難しかった。
そうした者達にはトモルが直々に相手をするしかなかった。
「面倒だな」
言いながら喧嘩を売ってきた連中を、叩きのめしていった。
もちろん、そいつらの背後にいる家も含めて。




