508回目 大陸統一国家との戦い 2
トモルの領域から、まず工兵部隊が出発した。
必要なところに必要な設備を作るためである。
特に空軍を動かすための空港は急いで作る必要がある。
ヒライワツミ王国も航空機を開発し、空港を備えてはいるのだが。
トモル領の機体を動かすには、王国の空港では規模が小さすぎる。
そもそもとして、数が全然足りない。
なので、まずは土台作りとして空港などを作っていく。
他にも、燃料・弾薬の置き場所。
電探・無線通信機の設置。
兵員が寝起きする宿舎。
これらに必要な発電施設などなど。
これらが次々に作られていった。
また、移動においても道路や鉄道の補強・増設が必要になった。
鉄橋なども改良が求められる。
これらも同時に設置がなされていった。
ただし、これらは軍用というわけではない。
戦争がない時を基本として場所を選定されていく。
その上で、戦場への展開も出来るように敷かれていった。
様々な工事車両によって、短期間で全てが作られていく。
それを見ていたヒライワツミ王国の者達は唖然とした。
「なんだあれは……」
噂に聞いていたトモル領の科学力。
それをまざまざと見せつけられた。
隣国との戦争から既に10年以上の年月が流れている。
実際に見た者はともかく、そうでない者は伝え聞くトモル領の話をおとぎ話として聞いていた。
だが、それが事実であったとこのとき実感した。
もっとも、実際に見たのは話に聞いた以上のすさまじさであった。
そうして防衛体制がととのえられていく。
軍事基地が完成すると、そこにトモル領の軍勢が入り込んでいく。
それもまた、ヒライワツミ王国の者達の度肝を抜いていった。
「なんだあれは……」
再びこの言葉が紡がれる。
そうしてるうちに、英雄王の国も迫ってくる。
百万はあろうかという兵隊が押し寄せる。
大陸統一国家は伊達ではない。
言うなればそれは、モンゴル帝国のようなものだ。
大陸統一を果たした巨大国家。
そんな巨大帝国が、今となっては末端にある国に押し寄せたのだ。
陸続きの元寇と言っても良い。
海という防壁、巨大な堀のない状態で、トモルとヒライワツミ王国は対抗する事になる。
「まあ、余裕だろう」
この状況をトモルはこう語った。




