503回目 ダンジョン潰しからはじまる動乱 2
各国がしのぎを削り始めていく。
国境に緊張感が走り続ける。
大陸は大小様々な戦争がそこかしこで起こっていった。
あくまで人口調整が理由である。
なので、国が倒れる事はほとんどない。
まれにやり過ぎる場合もあったが。
概ね問題なくルールの決まってる戦争は行われていった。
ただ、そんな裏事情を知らない者も多い。
そうした者達は、敵対国への敵愾心を抱いていく。
それが時に国を動かしていく事も。
あるいは、国の制御を離れる事も。
そうして人口調整が調整に終わらない事も増えていく。
あるいはこういう状況を利用する者も出てくる。
人口調整の裏取引。
それ故にある程度で終わる戦争。
それを逆手に取り、ある程度の一線を越えて侵攻する者も出てくる。
そうして他国を征服し、自国を強化する者も出てきた。
だんだんと取り決めが崩壊していく。
それによって、大陸の国が再編されていく。
滅びる国があれば、栄える国も出てくる。
そうしてこれまでになかった大国が生まれていく。
そして、発生する死傷者の数も膨大なものになる。
大国同士の戦争である、一度の戦闘に大量の人間が投入される。
当然ながら、膨大な人間が死ぬ。
人口調整の範囲を超えていく。
それでも戦争は終わらない、止まらない。
人口調整が、いつしか覇権争いになっていた。
どの国も当初の理由を忘れていた。
どこかで止まろうにも、止まる機会が無い。
そんな状況が延々と続くと誰もが思うようになっていた。
今の戦争が終われば、いずれ次の戦争がはじまる。
その間にも様々な策略や計略が飛び交う。
もう十分すぎるほど人は減った。
にもかかわらず、戦争は終わりを見せない。
戦争によって荒れた田畑。
破壊された工房、社会基盤。
これにより、減った人口を保つほどの生産量が確保出来ない。
長引く戦争は、人が生きる基盤すらも破壊していた。
減った生産量に対して、人口はまだ多い。
多いから、食い扶持を補う必要がある。
その為にまた戦争が始まる。
そんな中で唯一安泰を確保している国がある。
戦争に対して不干渉を決め込んだヒライワツミ王国だ。




