494回目 夢の引きこもり生活へ 2
「仕方ないな」
意外とあっさりとタカヤスは受け入れた。
自治州化を申し込んだトモルの方が呆気にとられてしまう。
「いいの?」
「良くはない。
けど、止められない」
タカヤスは肩をすくめる。
土台となる国力の違い。
大きく差をつけた戦力差。
それを持ってるトモルを止める事など出来ない。
「なんとか良い条件を引き出して、それで手を打てればいいが。
そうもいくまい?」
「まあ、さすがに無理です」
あっさりとトモルは返答する。
タカヤスの気持ちも分かる。
出来ればトモルと縁をもっていたい。
そうして、よりよい何かをもらいたい。
知識に技術など、出来れば手に入れたい。
だが、それを求めたら面倒な事になるのも分かってる。
「お前さんに交渉をしかける事ほど怖い事は無いからな」
一番近くで見ていたタカヤスにはそれがよく分かってる。
有利な状況を手に入れようと、あれこれと策を張り巡らす。
そうしてきた者達がどんな末路を辿ったか。
いずれも例外なく破滅をした。
「それが分かってて言いくるめようなどとは思わんよ」
タカヤスは分をわきまえていた。
「まあ、完全に交渉がなくなるのは避けたいが。
せめて敵対だけはしないでくれ。
こっちからも手を出さないようにするから」
「そうしてもらえると助かる」
十分な申し出だった。
互いに不可侵。
トモルとしてはそれだけで十分だった。
干渉することなく、互いにそっぽを向く。
これほど理想的な事は無い。
また、トモルとしてもヒライワツミ王国がある程度安泰であってほしい。
より正確に言えば、柊領のあるイツキヤマ付近だけでも。
トモルの領域に接してるからだ。
このあたりが安定してれば、変なちょっかいをかけられる心配は減る。
なので、これらがおびやかされれば、介入する。
その為に、わずかながらも接点は残しておきたい。
タカヤスとしてもこれで十分だった。
おかしな介入をされる事もないし、背後を心配する必要がなくなる。
それだけでも大きな利益になる。
なにより、イツキヤマが危険になればトモルの援助があるかもしれない。
防衛においてこれほど大きな利益はない。
「それじゃ、うちの領域は自治州ってことで」
「承認しておこう」
政治の実権者として、タカヤスは承認した。
これでトモルの領域は、強い独立性を持つことになった。
そして、トモルは各国との縁を断ち切っていく。
独自の勢力を作り出すために。




