492回目 本格的な隣国との戦争 7
「終わったー!」
隣国との戦争が終わった時、トモルはそう叫んだ。
「これで終わった!」
そう叫び続けた。
何事かと周りにいた者達は思っていた。
今回の戦争。
これが終わった事で、様々な事が終わった。
まず、隣国が全て弱小化した。
これで攻め込まれる心配がなくなった。
加えて、ヒライワツミ王国は多大な国土を得た。
これだけでも、大国と言うにふさわしい規模になる。
そこに人々を移住させて発展していけば、確実に大国になっていく。
そんな国にわざわざ喧嘩を売る国はない。
トモルが言ってる「終わった」というのはこういう事だ。
もう無駄な争いは起こらない。
下手に介入してくる馬鹿はともかくとして。
下手に攻撃を仕掛ける者は消える。
戦争は、おそらく二度と起こらない。
ヒライワツミ王国を巻き込むようなものは。
そう、戦争は終わったのだ。
ヒライワツミ王国が関わるようなものは。
それだけでもありがたい。
これで無駄な出費がなくなる。
これで、不要な死人が出ないで済む。
「やった!」
そう喜ぶのも当然だ。
とはいえ、諜報活動などは行われるだろう。
こればかりは仕方が無い。
人を完全に排除する方法なんてないのだから。
それが破壊工作などにならない限りは大目に見るつもりでいた。
あと、科学技術の持ち出しなど。
こればかりはさすがに無理矢理にでも阻む必要がある。
それでも、以前に比べれば、障害は減るだろう。
邪魔をしてくる奴がいないというのはありがたい。
「これで国内開発に集中出来る……!」
感無量といった気分だ。
そのはしゃぎように、トモルの周りにいた者達は呆れる。
「何をやってるんだか」
「まったく」
長年の連れ添いになってきたサエとサナエがため息を吐く。
だが、トモルからすればこれほどありがたい事は無い。
これでようやくニート生活構築に専念出来るのだから。
あとは快適な生活空間を作っていくだけである。




