49回目 管理してる連中も同罪である 3
その夜、上級生と舎監達はトモルによって叩きのめされた。
体だけでなく、精神の方も叩き壊されていった。
広間における暴虐はそれほどまでに酷いものがあった。
ひとしきりやりきったトモルは、その最後に上級生と舎監の全てから出身の家などを聞き出していった。
今後ふざけた報復をさせない為である。
「もし今後、俺に報復があったらお前らを殺す。
やらないと思うなよ。
これだけの事をやったんだから、お前らからの報復くらいは覚悟してる。
お前らの家もやってくる事も含めてな。
その時は、徹底的にやってやる」
それはトモルの決意宣言でもあった。
今のトモルであっても国を相手に、国を動かす者達を相手にして勝てる自信はない。
国が相手でなくても、ここにいる連中の親、その家だけを相手にしても苦戦をするだろう。
勝ち目がないわけではないが、勝率は低い。
トモル個人の力は他を大きく上回ってる。
とはいえ、軍勢を差し向けられたらかなわない。
ある程度の損害を与えても、体力と気力を消耗してそのうち身動きがとれなくなるだろう。
まだ数を打ち負かせるほどトモルは強くない。
また、おそらく今のトモルと同程度の能力を持つ者達もいるだろう。
レベル20やレベル30、あるいはそれ以上の人間を抱えてる家はあるかもしれない。
政府ならばまず間違いなくそういった者を囲ってるはずだ。
それらが出てきたらおしまいだ。
なので、上級生と舎監を叩きのめすのはやり過ぎた感がある。
それでもやってしまったのは、単純な理由だ。
腹が立ったのだ。
立場の強い者がそれを笠に着てやりたい放題。
胸くそが悪くなった。
力があれば何をしても良い、とういわけではないはずなのに。
しかも、今回のような事をやらかした理由は、何の事は無い。
本来報復するべき相手を無視しての八つ当たりである。
決して許せるものではなかった。
(やるしかないか)
放置すれば自分にも問題が及ぶ。
それもあってトモルは覚悟を決めた。
敵にするのは学生や舎監だけではない。
その背後にある貴族や政府などになる可能性もある。
それでも構わないと開き直った。
この問題を放置する事の方がよっぽど害になると思ったからだ。
それに、学校にいられなくなるならそれでも良かった。
その時には出奔して身を立てれば良い。
それくらいはどうにかなるという思いもある。
(レベルを上げればどうにかなるだろうし)
身も蓋もないがそう考えての事でもある。
あと5つくらいレベルを上げれば、国一つを相手にしてもどうにかなる。
それくらいの能力にはなるはずである。
そうなれば対抗するのも難しくはなくなる。
そして、そこまでレベルを上げるのはそれほど困難でもないという目算もあった。
こういった計算を踏まえて、トモルは行動に出たのだ。




