481回目 一極集中から、全体の底上げへ 7
前回の内戦のおりに攻め込んできていた隣国達。
それらへの報復として、内戦がとりあえず終結した後に攻め込んだ。
そして、国境沿いの地域を破壊して回った。
不当に攻め込んできた事への復讐として。
そして、回復に時間をとられ、攻め込む余裕を無くすために。
これらはトモルからすれば当然の行動だった。
いきなり攻め込んできたのだから、相応の報いは受けるべきである。
そう考えているし、それも間違ってはいない。
だが、相手もそう考えてるわけではない。
ヒライワツミ王国に攻め込み、そして反撃を受けた各国。
それらからすれば、冗談ではないというところだった。
確かに攻め込みはした。
それは確かだ。
だが、その反撃として村や町、都市を破壊する必要があるのかと。
あるに決まってる。
攻撃してきたのだから、やり返されただけだ。
攻め込まなければ、大勢の人間を失う事は無かった。
瓦礫だらけの廃墟を誕生させる事はなかった。
だが、反撃された国はそうは考えなかった。
なにもここまでする事はないだろうと。
自分のやった事を棚上げして文句を口にする。
そんな連中と国境を接してるのだ。
安心できるわけもない。
再び攻め込んでくるのは目に見えている。
国境地帯の修復と国力の回復が終わればすぐにでも来るだろう。
それへの警戒もあり、トモルも色々と考えていた。
戦っても負ける事は無い。
だが、それにより兵力を振り向けねばならなくなる。
そうなれば、モンスター領域の開拓は遅れる。
それはそれで嫌なものだった。
「本当に面倒な奴らだ」
隣国共の鬱陶しさに腹が立つ。
だが、無いもしないで文句を言ってるわけにもいかない。
対応と対策を実行しなければならない。
そう考えてトモルは、暇を作って動いていた。
隣国に潜入し、必要な工作をするために。




