473回目 第二次内戦 2
藤園連合軍、および藤園の拠点。
そこに襲いかかるのはトモルとタカヤスの軍勢だけではない。
「そろそろ頃合いか」
「はい」
藤園側の勢力圏。
そこにある王族領。
そこでも動きが始まる。
「いくぞ。
国政を壟断してきた藤園を倒すのだ」
そう叫び、動き出す王族達。
彼らは自分たちの王族領を起点に、藤園への圧力をかけていく。
それに呼応して、各地の人々も動き出す。
貴族や武家だけではない。
平民や庶民といった一般人すらも動き出す。
やる事はたいしたものではない。
藤園から注文されていたものの納品が遅れたり。
都合がつかなかったと発注数未満の納品をしたり。
道を崩して軍勢の動きを阻害したり。
どこで誰が何をしていたのかを伝えたり。
そういった細かい妨害をあちこちで行なった。
一つ一つは小さい。
たいした膨大にはならない。
だが、つもりつもって全土で起これば大きな障害になる。
納品が一日遅れれば、それに続く行動が一日遅れる。
そうした遅れが積み重なり、大きな遅滞になる。
それが藤園勢力圏のあちこちで起こった。
それは当然ながら前線にも響いていく。
何せ、必要な物資が届かない。
後方に侵入したトモル・タカヤスの兵士による破壊工作だけではない。
民衆全部が敵に回ってるのだ。
最低限必要な量をすら集まらない。
増援も遅れている。
あちこちでの進路妨害で、兵士の到着が遅れてるためだ。
その為、攻撃もままならない。
兵力が減りすぎてそれどころではない。
全体の動きすら阻害されている。
各方面から包囲してる藤園連合軍だ。
そのため、軍勢は広く散らばっている。
それらが効果的な攻撃を仕掛けるには、全体の統制が必要になる。
可能な限り多くの戦力を、一斉に動かさねば効果は薄い。
散発的に攻撃を仕掛けても、各個撃破されるだけである。
なのだが、その為の連絡すらままならない。
伝令が途中で襲われてるからだ。
そうでなくても、通行不能な場所が増えている。
伝令は迅速に動けなくなっていた。
これらもあわさり、藤園の軍勢は動くに動けなくなっていく。
時間が経てば経つほど置かれた状況も悪くなる。
もはや前線に張り付いてるのがやっとだ。
迂闊に攻め込めず、かといって撤退命令も出ていない。
「どうすりゃいいんだ」
そんな嘆きをあちこちの指揮官が口にしていく。
そんな彼らに引導を渡すべく、トモルは動いていく。
機甲戦力を繰り出し、敵軍を撃破していく。
前線から藤園連合軍を消し去っていく。
こうして攻め込んだ藤園連合軍は、その兵力の大半を失っていった。
逃げ延びた敗残兵がなんとか後方に逃げ込んでいく。
だが、その途中で次々に襲われていく。
落下傘で降り立ったトモルの兵士や、王族領の武士により。
命からがら生き延びたものは、当初の軍勢の一割にも満たなかった。
それは藤園の武力が崩壊した事を意味する。




