469回目 勝者は勝者の悩みがある 4
そんな調子で藤園を成敗していき。
それが残存する有力者達の目や耳に届く。
藤園に連なるそれらは、さすがに考えや行動をあらためていく。
確かに他の有力者は鬱陶しい。
同じ藤園に連なる者といえどもだ。
主導権争いをしてるのだから当然だ。
誰が藤園の権勢と権威を手にするのかを争ってる。
だが、そうも言ってられない。
その藤園が駆逐されていってるのだ。
藤園同士で内部分裂してる場合ではない。
「この際、一緒に敵を倒そう」
そういう流れも生まれてくる。
それはそれでおかしな話である。
藤園が敵としてるのは、タカヤスである。
曲がりなりにも王族、藤園が仕える相手だ。
それを敵として倒そうというのだ。
反逆と言うしかない。
それでも自分の生存をかけて藤園家は一つにまとまろうとした。
共通の敵というのは、とりあえずの騒動を忘れる理由になる。
その敵を取り除けば、再び争いあう事になろうとも。
そうしてタカヤスは国内の有力者連合と敵対していく事になる。
現在の国王や各地の王族はその動きをたしなめていく。
しかし、藤園がそれを聞くわけもない。
彼らも生死がかかっているのだ。
負ければ滅亡となれば、勝って存続を目指すしかない。
そんな藤園家は、連合してタカヤスを倒そうと動き出す。
前国王と藤園本家を倒した勝者を。
「ままならないもんだな」
その報告を受け取ったタカヤスは嘆きを漏らした。
もともと、王位継承を崩壊させられた事で決起した。
それは王家の存亡がかかっていたからだ。
タカヤスも必死だった。
それに勝利したと思ったら、今度はタカヤスが攻められる事となった。
藤園達は自分たちの存続を懸けてやってくる。
お互い、存亡を懸けてるという点では一緒だ。
死にたくない、滅亡したくないという思いからのものだ。
なのに、こうして争い合わなくてはならない。
「救いようがないな」
争う理由は同じだ。
お互い、領分を侵された。
だから戦っている。
「もう止めようがないか」
その時期はとっくに過ぎたのだろう。
前国王と藤園本家の討伐から3年。
ヒライワツミ王国は再び戦争に突入しようとしていた。
国を二つに分けて。




