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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第13章

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467回目 勝者は勝者の悩みがある 2

 幸いにもタカヤスは勢力を拡大している。

 倒せるところから藤園家の勢力を潰していっている。

 おかげでタカヤスの領地であるイツキヤマ近辺は大分落ち着いた。



 藤園家に代わって統治を始めた王族や旧氏族も機能している。

 相変わらず人材不足ではあるが、それでもなんとか現状維持を続けている。

 そうして国内の何州かは平穏を取り戻していった。

 人々の生活と、それに連なる経済の立て直しも進んでる。



 そんな安全を求めて難民も流れ込んでくる。

 それらは頭の痛い問題だ。

 だが、それも単純労働や侵攻用の兵士として取り込んでいく。

 難民をいつまでも居着かせない。

 彼らが元いた場所を彼らの手で取り戻させる。

 そして、元の場所での生活をさせる。



 そうやって難民も利用して藤園家を潰していく。

 むしろ最近は、難民を誘って労働力や兵力にあてるくらいだ。



 その方が色々と都合が良い。

 なにせ、民衆が流出すればそれだけ生産力が落ちる。

 経済規模が減ると言っても良い。

 農民・商人・職人・労働者。

 これらが消えれば産業は成り立たない。

 産業によって発生する経済も消えていく。



 それを狙って、相手の弱体化のために民衆を引き抜く。

 引き抜いた者を使って攻め込む。

 トモルやタカヤスの損失は一切ない。

 敵を痩せ衰えさせて潰すことが出来る。



 問題なのは、拡大する領地に人材が追いつかない事だ。

 どれだけ育成しても、拡大の速度に追いつかない。



 何より、王族の数が追いつかない。

 統治者として王族を配置したいが、その数は限られてる。

 ならばと旧氏族も用いるが、これもまた足りない。

 やむなく、平民庶民から有望な者を抜擢していく。

 それらを代官として派遣し、新領地の統治を任せていく。



 そうした者達に求められたのは、有望さだ。

 有能さではない。

 能力があるだけの者は用いない。

 誠実さや正直さのある有望な者を採用・登用していく。

 そうしなければ、藤園の二の舞になる。



 藤園は決して無能ではない。

 むしろ有能と言える。

 だが、心が伴ってない。

 相手を思いやらない、いたわることがない。

 有能ではあるが、その能力を自分の欲望達成だけに使う。

 その為に悪事をいとわない。

 むしろ、進んで悪事を行う。



 そうした事にならないように、有能な者は避けた。

 火種を自らまくような事は慎んだ。

 出来れば能力のある者を使いたいとは思う。

 しかし、後々の事を考えれば、それは悪手でしかない。



 そうして選ばれた者達が各地に赴任していっている。

 慣れない事もあって、失敗も多々ある。

 それでも、問題の無い程度に統治を進めていく。



 後にこれが、藤園消滅後の新たな統治体制の原型となっていく。

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