460回目 戦争の終了と、戦争の開始 6
藤園から奪取した土地は、現地の王族に返される。
元々の所有者は彼らなのだから。
そうして各地の王族に力をつけさせていく。
旧氏族もついでにとりたて、拡大した王族達の領地経営と運営に従事させる。
その教育のために、一時的にトモルの領地に出向く事にもなる。
モンスターを倒してレベルを上げるためだ。
そうして能力をあげ、技術を手にして成長する。
こうして人材不足を解消していく。
同時に発展も始まる。
農業や工業、商業が格段に変わっていく。
成長した人材と、トモルの提供する知識。
これらが全てを変えていく。
農作物の収穫が増大する。
工業製品がひろまる。
あちこちに商人が製品を持ち込む。
そうして王族領は発展していく。
引き換えに、藤園勢力の弱体化にもつながっていく。
何せ、決して藤園と手を結ばないのだ。
今までが散々だったので、王族のほとんどは手を切る。
決して相手にしない。
調略や籠絡される事もない。
だからといって攻め込むのも難しい。
単純に王族に刃向かうのが外聞が悪い。
それを無視したとしても、簡単に攻め込めるほど弱いわけではない。
戦えばどうなるのかは、対立する藤園がよく分かってる。
なにせ、徹底的に蹂躙されるのだ。
王都攻略における戦いでそれが示されている。
今もまた、各地の混乱鎮定でその強さを示している。
勝てるわけがない。
それが対立する藤園の一致した見解だ。
だからこそ、相手を調略しようとするのだが。
交渉には一切応じない。
だからどうにもならない。
諜報がそもそも出来ない。
なんとか内部情報を手に入れようと思っても、それも出来ない。
トモルのところで高レベルに成長した者達が阻むのだ。
精神操作の魔術であやしい人間をあぶりだす。
そして、捕らえられた者達から情報が流れる。
それをもとに新たな戦争になる。
諜報活動を指示した者達の所に軍勢が差し向けられる。
そのまま一家全員滅亡となる。
なので、迂闊に手を出せなかった。
下手に何かすれば、確実に滅びる。
しかし、何もしなくても、藤園家というだけで攻め込んでくる。
国を乱した奸賊と言って。
実際にそうなのだから言い訳のしようもない。
こうしてタカヤスの領地周辺から藤園討伐が進んでいく。
藤園は少しずつ、だが確実に力を無くしていく。




