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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第2章

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46回目 寄宿舎伝統の歓迎会に丁寧な迎撃をしていく 4

 掴み上げた────この中で中心になっていた上級生の叫び。

 それを最も近い位置で聞いてるトモルは、更に腹に拳を叩き込んだ。

 一発だけではなく何発も。

 相手がそれで大人しくなるのを見計らい、少しだけ魔術で治療をする。

 口をきける程度に回復させるために。

 そうしてからあらためて尋ねる。



「それで、俺らを呼びつけた理由は?」

 それはもう尋問ではなく命令だった。

 言う事に従わない事など決して許さない。

 そんな意志にあふれていた。



 上級生は思いの丈をぶちまけていく。

 毎年恒例の新入生いびりを。

 それがこんな風になった憤りを。

 自分達だけが痛い目をみて理不尽であると。

 そんな事を叫んで伝えた。



「バカが」



 返ってきた声はとてつもなく低く冷たく、見下しはてたものだった。

 それを聞いた上級生ははっきりと察知した。

 相手が自分の事をこれっぽっちも尊重してない事を。

 動物や虫けらほどにも認めてない、そこらのゴミ屑と同等、下手したらそれ以下にしか見てないと。



「だったら、そんな事やらかした連中にやりかえせ」



 そう言われて上級生は空を飛んだ。

 トモルの拳が顎を下から突き上げたのだ。

 その衝撃で、勢いよく天井まで飛んだ。



 なお、広間の天井はかなり高い。

 吹き抜け構造で三階の天井くらいの高さまである。

 そこまで飛んで天井にぶつかり、床まで落下してくる。

 その浮遊感と落下感に、上級生は意識と感覚の全てを手放した。



 無意識に自分が助からないと悟ったのかもしれない。

 それで、無駄な抵抗を、これ以上苦痛を感じて生きる事を放棄したのかもしれなかった。

 だが、トモルはそんな事を許すほど優しくも甘くもなかった。

 落ちてくる上級生の体を、横薙ぎの蹴りを打ち込む。

 その衝撃で上級生は、本格的に意識と魂をこの世から切り離そうとした。



 だが、それと同時にトモルは治療魔術を使った。

 おかげで上級生は死ぬ事なく回復した。

 トモルの能力による治療は、それこそ上級生の傷も体力も全て癒すほどの威力があった。

 だが、それも壁に激突する衝撃によって帳消しになった。



 他の生徒を束ねていた上級生は、壁に勢いよくぶつかった。

 その反作用で、かなり勢いよく床に転がっていく。

 壁から2メートルほど跳ね飛んで、床に転がる。

 どうにか止まったところで、苦悶の声をあげてのたうち回っていく。



 その出来事を見ていた新入生達は、目の前で起こった事を呆然と見つめていた。

 自分達と同じ新入生が、前に出たと思った瞬間に上級生を一蹴していったのだ。

 何が起こったのかまず理解出来なかった。

 理解出来たとしても、そこで行われてる事が信じられなかった。



 何せ上級生が吹き飛ばされていったのだから。

 比喩や誇張でも何でもなく、文字通りに。

 同じ新入生の腕が、足が動く度に。

 それらが上級生に触れる度に、あちこちに飛んでいった。



 驚きすぎて声も出ない。

 動き出せる者など一人もいない。

 目で見てる事が信じられない、頭の理解が追いつかない。

 何でそうなってるのか、どうしてこうなったのか。

 理解する事も受け入れる事も困難だった。



 だが、実際に起こってるその事態を無視する事は出来ない。

 それは夢でも幻影でもない現実なのだから。



 それを実行した当事者は、そんな新入生に振り向いてのたまった。

「悪いけど、もう少しここにいてくれ。

 お前らにも見ててもらいたいもんがある」

 逆らう者などいなかった。

 相手は上級生より面倒で恐ろしい存在なのだから。



 そいつが一度広間から退散していく。

 何をするのだろうと新入生達は不思議に思った。

 そんな新入生の耳に、大きな物音が飛び込んできた。

 全員、なんとなく不安をおぼえる。



 まさか、自分達にも同じような悲惨な事が起こるのではないかと。

 そう思うが、それでも新入生達はその場から動く事が出来なかった。

 自覚はしてなかったが、彼らも恐怖で身がすくんでいたのだ。

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