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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第13章

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458/531

458回目 戦争の終了と、戦争の開始 4

 緒戦は腹の探り合いや離合集散になる。

 暗躍ともいう。

 各地の有力者達は状況を見ている。

 さすがにいきなり武力行使という事は少ない。

 ただ、派閥の再編は行われていった。



 既に最有力と目される者達が、自分の陣営を強化しようとしている。

 国王が倒された国の中で主導権を握るために。

 藤園の有力者でもあった彼らは、新たな国王をもり立てようという気は無いらしい。

 そうではなく、自分が国の頂点に立とうと動いていく。



 幸いな事にトモルやタカヤスを糾弾する者はいない。

 そんな事をすれば攻撃対象になる。

 戦えばどうなるかは明らかだ。

 既に彼らはタカヤスとトモルの軍勢の強さを知っている。

 それだけの情報収集能力はある。

 なので、下手に触れないようにしている。

 やれば命が危ない。



 そういうわけで、原因であるタカヤス達については何も言わない。

 本来ならば、国王への反逆を理由にして、一斉に攻撃する事も出来るのに。

 それをやれば間違いなく自分たちが負ける、滅亡すると分かっている。

 たとえ勝つにしても損害は大きい。

 そうと分かっていて攻撃するほど有力者達は馬鹿ではない。



 そんな有力者達は、ひたすら自分の勢力拡大にいそしんでいく。

 藤園の本家も倒れた今、彼らを止める者はない。

 様々な者達を取り込み、陣営の強化をしていく。 

 今後に備えてだ。

 彼らも分かっている。

 今後、より大きな動きが出てくる事を。

 おそらく国内での大規模な戦争。

 そうなるだろうとは誰もが予想している。

 だからこそ、少しでも自分の陣営を強化する。

 来たるべき戦争に勝つために。



 そんな彼らに新たな国王の姿など見えてない。

 そんなもの既にどうでも良くなっている。

 彼らは国王や王族の持つ権威を利用していた。

 だが、それは藤園本家あってのものだ。

 本家が王族に近い立場を利用していたのだ。

 そんな彼らにとって国王など既に眼中にない。



「困ったものだ」

 新たに即位した国王はそう言ってため息を吐く。

 トモル達から事前に打診があり。

 国王と藤園の本家を倒すから、それが終わったら国王になってくれと。

 何を馬鹿なと思ったが、それでも黙って見ていた。

 結果がどうなろうと、戦争が始まる。

 そうなれば国内は不穏になる。

 それらを少しでも落ち着かせるために。

 どのみち、それほど大きな力はない。

 自分の王族領を守るので精一杯だ。

 トモルの声に応じたわけではないが、黙って様子を見ていた。



 それが本当に国王になってしまった。

 驚き慌ててしまった。

 しかし、なったからにはやるべき事を為そうとしてはいた。

 王族の立場として、現状を無視する事は出来ない。

 なので、各地の勢力に呼びかけを行なっていた。

 王都の事で混乱もあると思うが、静謐を保とうと。

 しかし、その声はあっさりと無視された。



「分かってはいたが」

 こうなる事は予想していた。

 しかし、実際に無視されると悲しいものがある。

 ここまで国王という立場は、王族という存在は小さなものだったのかと。



 とはいえ嘆いてるわけにもいかない。

 やるべき事から逃げるつもりはない。

 その後も新国王は出来るだけ各地の者達に呼びかけていく。

 静謐を保つようにと。



 同時に、自分の王族領の安定をはかる。

 せめて手の届く範囲だけでも守るために。

 そこに連なる旧氏族とも連携をとって。

「出来る事はこれだけか」

 新国王は、己の力のなさを嘆く。

 それでも、彼はできる限りの力を尽くしていく。



 そうしてるうちに小さな火花が散っていく。

 小さな勢力がぶつかり合っていく。

 そうして発生した小さな騒動は拡大してより大きくなっていく。

 まだ国内全土を巻き込むほどではない。

 しかし、それがより大きな混乱と戦乱の呼び水になっていく。

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