457回目 戦争の終了と、戦争の開始 3
当面、他の地域における騒動は見送り。
何かあったら動く。
そういう方向で動いていく。
ただ、何もしないわけにはいかない。
まずは各地の王族。
これらの安全を確保していかねばならない。
その為に、各地の旧氏族などを集めていく。
それらを、王族の下におき、活動を開始させていく。
まずは体制を作らせる。
統治に必要な状況をだ。
武装もさせていく。
兵隊がいなければお話にならない。
その為の支援をしていく。
必要なら武装もさせていく。
最新式の武器はさすがに提供できないけど。
火縄銃くらいはまわしていく。
産業なども興させていく。
経済基盤がないとどうしようもない。
この場合の経済とは、金銭の流れだけを言うのではない。
衣食住などの人が生きていくために必要なもの。
それらが行き渡るよう、流れて動くようにする事。
その動きの全てを指す。
さすがに全部を一気に形にする事は出来ない。
だが、少しでも形になるように動かしていく。
そうして、各地の王族領を安全地帯にしていく。
周囲の騒乱や動乱を排除できる聖域に。
争いに巻き込まれない場所があれば、人は自然と集まる。
そこが新たな中心地となっていく。
そうなるように仕向けていく。
いささか言葉が悪いが、多少の工作活動はしなくてはならない。
有利な状況を作るために。
決して不利な状況に陥らないように。
一応、事前の根回しはしてある。
王都攻略の間も、各地の王族と連絡はとりあっていた。
それらがどれだけ効果をあらわしてるのか分からない。
だが、全く何もしてないわけではない。
ほんの少しだけでも土壌は出来ている。
あとはそれを上手く活かさねばならない。
「まあ、全部は無理だろうけど」
諦めてもいる。
全ての王族が望んだような動きをしてくれるとは思わない。
才能や能力が足りないから。
やる気がないから。
やったとしても、間違った方向に動くから。
最悪、藤園側につく事もありえる。
「まあ、それも覚悟でやってくしかないけど」
ため息は止まることなく口から漏れていく。
それでもトモルは各地に種をまいていく。
始まってしまった戦乱動乱を止めるための。
その全てが上手くいかなくても良い。
どれか一つでも効果をあらわせばと思う。
そして、上手くいったものを集めて、形にしていく。
結果を出していく。
結果につなげていく。
「それくらいか、今できるのは」
「これくらいなんですよ、今の俺に出来るのは」
タカヤスの声にそう応える。
「さすがに手に余りますよ、これは」
絶大な能力を持っている。
しかし、それでも全てを好きなように動かせるわけではない。
それをトモルは感じていた。
それでも事態は動いていく。
トモルの思いと裏腹に。
トモルの思い通りに。
様々な成功と失敗を繰り返しながら、事は進んでいく。




