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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第11章

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424回目 州都攻略 14

 城の中の制圧は進んでいく。

 領主周辺の者達も残り少なくなった。

 降伏は受け入れられず、最後まで戦うしかない。

「なんという事だ……」

 この現状へのぼやきを領主は口にする。



 もうどうにもならない状態だった。

 攻め込んでくる敵に対して、領主らは劣勢。

 それを覆す策もなし。

 あったとしても、どれほど効果があるか。



 それ故に損害を留めるべく降伏を申し入れたが。

 これも拒否。

 使者は到着する前に殺された。

 というか、掲げた白旗を無視して攻撃された。



 それが示す事は一つだけ。

 トモル側が降伏を受け入れる意思がないということ。

 いわんや交渉など。



 ここにおいて彼らの命運は決した。

 敵に蹂躙されるか。

 万に一つの起死回生をはかるしかない。

 あるいは、敵の気まぐれで戦闘が停止されるのかを。

 つまりは、藤園側の意思など何一つ汲み取られる事は無い。



 ただ、降伏の申し入れなどが、既にしてふざけた行動であると言える。

 そもそも、他者を踏みにじってきたのは藤園である。

 これまでの歴史の中で、どれだけ他の者達を蔑ろにしてきたのか。

 それを一顧だにせず、我が世の春を謳歌してきたのは誰か?



 一家離散、首つりなどに至った例は、枚挙にいとまが無い。

 記録に残らぬそれらが今までどれほどあったのか。

 そうして悲惨な目にあった者達は多大な数にのぼる。

 それこそ、女子供に老人まで。

 一族郎党滅亡なんて事もあった。



 それが劣勢になったから交渉しようなど虫が良すぎる。

 さっさと死ぬべきである、今まで他者に不遇を強いてきたように。

 彼らが我が身の現状を嘆くのは、我が儘で傲慢の極致でしかない。



 それをかわいそうなどというのも、偽善の極致である

 虐げられてきたものを踏みにじっている。

 過去の行いを無視し、経緯を無視している。

 やってきた事を無視して現状だけ見ている。

 過去の出来事などどうでもいいというのだろうか。



 それが許されるなら、トモルが行ってる事だって許されるだろう。

 何せ、今やってる事だって、やがては過去になる。

『やがて』などという長期間を待たなくても良い。

 一秒でも時間が過ぎ去れば、それはもう過去の出来事である。

 そんな過去の出来事になる今やこれからの行いを止めるのは、道理に反するだろう。



 過去を蔑ろにする者は、現在と未来をも失う。

 ただそれだけの事だ。

 それに従うなら、藤園が滅びても何も問題は無い。

 そして、過去も現在も未来も尊重するならば、相応の報いがあるべきである。

 だからこそ、藤園は滅びるべきである。

 どっちにしろ、もう終わってる。



 なお、白旗を必ず受け入れる必要は無い。

 習慣や慣例として、戦う意思がない事を示す旗として白旗は用いられてるが。

 それを受け入れるかどうかは、当事者の自由である。

 白旗を掲げた者を、無抵抗の者を攻撃したとて、咎められる筋合いはない。



 ことに、相手は藤園である。

 それこそ、過去から現在に至るまで、様々な白旗を無視してきた。

 交渉や妥協、あるいは止揚という事をしてこなかった。

 己の勢力拡大と向上だけに邁進していた。

 そんな連中相手に交渉してやる義理も道理もない。

 そんな事を相手にしてやるのは愚行である。



 等しい対応を取らねばならない。

 互いの利益を尊重しようとする者相手ならば、同じように接しなければならない。

 横暴の限りを尽くして来る奴ならば、同じように横暴に接さねばならない。

 そうしていかねば、己を失っていく。



 己を失えば、命や財産や尊厳を失えば、あとは死ぬだけである。

 我欲のない存在は、ただの奴隷である。

 己の尊厳や意思を大事にしたいなら、それらは放棄せねばならない。

 執着を大事にせねばならない。



 自分の尊厳、生命、それを支える財産。

 そして、大事な人に物。

 思い出などの出来事。

 そういったものへの執着こそが、人を人として幸せにする。

 それを捨てろというのは、人間性の喪失でしかない。



 それを強いてきたのが藤園である。

 今、それが自分に返ってきた。

 ただ、それだけの事だ。



 州都で、城内で行なってるのは、そんな藤園が強いてきた事である。

 城内にいるあらゆる者。

 それらは一人残らず殺されていく。

 馬などの家畜も同様に。

 藤園に関わる全てが破壊されていく。



 壊さず確保されるのは、統治に必要な様々な記録くらいだろうか。

 戸籍に土地の登記簿。

 領主の収支記録に政策資料など。

 今後の統治に必要なものだけは確保されていく。



 また、個人的に確保された蔵書など。

 様々な知識や記録が記されたそれらも確保された。

 個人の日記に至るまで。

 人となりを知る手がかりになるからだ。



 また、情報を吐き出させるために生きて捕らえられる者もいる。

 あるいは、後ほど見せしめとして、民衆の前で処刑するために。

 どうしても直接手に入れる必要がある情報もある。

 また、民衆などより多くの者達に末路を見せておく必要もある。

 その為に、多少なりとも生きたまま捕らえる必要もあった。



 だが、確実に生きて捕らえるわけでもない。

 出来ればそうしたいというだけで、必ずやれという命令ではない。

 なので城内に侵入した兵士達は、次々に敵を抹殺していった。



 そうした遠慮のなさにより、攻略は順調に進む。

 何せ、出会った者は残らず攻撃すればいいのだ。

 対応に困る事は無い。

 事細かな交戦規定などない。

 そもそも、細かな交戦規定など戦闘の邪魔にしかならない。

 一々そんな事考えてる余裕など無いのだから。



 そうして城内を掃討していくトモル側の兵士達。

 それらは領主が立てこもる最後の部屋の前までやってきた。

 城の中にある、倉庫のような部屋だ。

 そこに領主達は立てこもっていた。

 逃げに逃げた果ての場所である。



 その扉に向かい、無反動砲を放つ。

 扉はあっけなく破壊された。

 中に手榴弾を放り込み、爆発したのを確かめてから内部に突入していく。

 ただ、そこには既に誰もいない。



「逃げたか」

 突入した者達は特に驚く事無くそう言った。

 既に想定していた通りの事である。

 城内からの抜け道。

 それを使ったのは既に分かっている。

「あとは、向こう側にいる連中に任せるか」



 トモルとてそれくらいは想定している。

 最悪の場合に備えて、抜け道くらい用意してるだろうと。

 また、事前の調査でそれがある事も分かっていた。

 だから用意もしている。



「…………来るぞ」

 城の外のとある場所。

 州都からも更に離れたとある地点。

 トモル側の兵士の一部がそこで待機していた。

 一個中隊100人ほどが。



 彼らがいるのは、城内からの抜け道の出口。

 そこで逃げ延びた者達が出てくるのを待つ。

 感知・探知系の魔術で見つからないようにしながら。

 ある程度距離をとり、双眼鏡などで様子を見る。

 そうしているうちに、脱出してきた者達が出てきた。



「行くぞ」

 行動を開始する。

 出てきた敵を倒していく。

 可能なら生け捕りにしてくれとは言われているが。

 あくまで、可能ならだ。

 倒してしまって問題は無い。



 それでも何人かは死なずに捕らえる事が出来た。

 それらを連れていく事は出来た。

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