422回目 州都攻略 12
砲撃が再開される。
先ほどよりは広範囲に。
門から州都の中心にある領主の城までの道。
それに沿うように攻撃が加えられていく。
身を隠す場所を無くすこと。
それが目的だった。
敵が物陰に潜み、至近距離から襲ってくる可能性。
それを家屋ごと確実に潰していく。
吹き飛ばされていく家屋。
強制的に開かれていく道。
それを見て、統治者達も民衆も現実を思い出す。
敵は目の前にいる者達だけではないと。
外に本来の敵がいた事を。
そんな彼らの前で、城門が破壊される。
分厚い扉が文字通り吹き飛んだ。
城内にいた者達が知るよしもないが。
城門前に持ってきた長距離砲によるものだ。
敵を塞ぐ第一の障害。
それが消えた。
そこから州都の城までの道も破壊されている。
瓦礫だらけで歩きにくいが、障害はない。
そこにトモル側の兵があふれていく。
それを見て城内の者達は様々な反応を見せた。
事ここに至っても、互いに統治者や民衆を攻撃する者。
慌てて逃げ出す者。
敵であるトモル勢に対応していく者。
つまりは混乱をきたした状態を作り出していく。
まともな動きが出来るわけもない。
そんな敵に向かって、砲撃が再び行われる。
今度は城を中心に。
歩兵が到着するまで、少しでも敵を倒すために。
その周辺にいた者達は、統治者も民衆も区別なく吹き飛んでいく。
その間に歩兵は少しずつ進んでいく。
瓦礫で足がとられるのでしょうがない。
それに、もしかしたら敵が潜んでる可能性もある。
迂闊な事は出来なかった。
自動車で城内に入れればよかったのだが。
残念ながらそれは断念した。
自動車が通れるような大通りは少ない。
城門から城に通じる道がそれなのだが。
そこは今、瓦礫だらけである。
迂回するにしても手間がかかる。
内部の道などは、事前の諜報活動などで把握していたが。
自動車が通れるような道は限られている。
そこを通るのを狙われたらどうにもならない。
なので、自動車は州都の内部ではなく、外部に置く事とした。
城門の外を警戒し、何かあったら即座に動けるようにと。
先回りして避難民達が逃げ出さないようにしたのもその一つだ。
今も他の城門に先回りして、敵勢が出てくるのを塞いでいる。
砲撃による攻撃。
歩兵による掃討。
それが同時進行で行われていく。
城に籠もる敵は砲撃で。
迎え撃つ為に出た者達は歩兵に。
それぞれ倒されていく。
やがて命が惜しくなった者達は、周辺に散らばっていく。
砲撃も歩兵も正面からしか来ない。
ならば、脇にそれていれば安全である。
その事に気づいた者達が、トモル勢から遠ざかるように散らばっていく。
邪魔者が消えたところで、城内に入ったトモル勢が後方に連絡をする。
魔術によって声を届け、砲撃を止めるよう求める。
このままでは城に近づけないからだ。
求め通りに砲撃が終わる。
それからトモル勢は城の前まで進む。
かなり崩れていたが、まだ中に入れるほど壊れてない。
その城門に向けて、歩兵は持ってきたものを構える。
それもまた、トモルがもたらした知識によるものだ。
無反動砲。
あるいは、バズーカ砲と言った方がわかりやすいだろうか。
歩兵が持てる対戦車兵器の一つである。
戦車でなくても装甲車両や壁や物を破壊する事が出来る。
それを歩兵達は城門に向けた。
城門が吹き飛ぶ。
跡形もなく、とはいかないが、二発三発と撃ち込んで粉砕する。
遮るものはなくなった。
そこに向かい、歩兵は進んでいく。




