421回目 州都攻略 11
「なんだ……」
「嘘だろ」
その様子を見てた者達が漏らす。
そう言いたくなるような攻撃だった。
町のあちこちで爆発が起こる。
それが砲弾によるものだとは知るよしもないが。
ただ、あちこちにある家が次々に吹き飛んでいく。
それだけは確かに目撃していった。
攻撃範囲に指定された場所。
そこが次々に吹き飛んでいく。
町並みが消えて、瓦礫だらけになる。
圧倒的な破壊によって更地になっていく。
城内にいる者達が知るよしもないが。
それは持ち込まれた100門以上の砲によってなされたものだった。
それが一区域に向けて集中的に攻撃を加えていっている。
一般的な家屋が耐えられるわけがない。
爆音が続く。
それが鳴り響く度に家が破壊されていく。
地面にも衝撃で窪みが出来る。
積み上がっていく瓦礫が、続く砲弾によって更に吹き飛ばされていく。
ようやく砲撃が終わった時。
門の周辺地域は完全に開けた場所になっていた。
建物はほとんど消えている。
ところどころに残骸が残っているが。
家屋として使えるようなものは何もない。
「────以上が、我が軍による攻撃である」
再び魔術による広域音声が響いていきた。
「この攻撃を我らは行う。
邪魔するものは全て吹き飛ばす」
それを聞いて誰もがぞっとした。
「ただし、貴族・武家、その他統治者に関係する者達。
これを殺してきた者達は見逃す。
そうでない者は、協力者として攻撃対象とする」
非情な宣言は更に続く。
「無関係な者達の中にいるなら、まわりの無関係な者達と共に殺す」
それは、無抵抗な者達の中に隠れる事を不可能にした。
「統治者達を差し出さなかった者達は、敵の協力者とみなす。
係累…………親兄弟子供などの関係者ごと全員殺す」
一族郎党が無関係とはいかなくなった。
「統治者の関係者とは、使用人でも出入りの業者も含む。
この連中に雇われてる傭兵や冒険者もだ。
これを残らず全部差し出せ」
残酷な線引きが為されていく。
「これが差し出されなかった場合、全員協力者とみなす。
州都にいる全員を攻撃する」
早速動き出す者達が出てくる。
統治者側にも、そうでない者達にも。
「二時間後、攻撃を開始する。
それまでに結果を出せ。
以上だ」
時間制限もされた。
動き出したのは、門の周辺で作業をしていた者達だった。
トモル側の軍勢の攻撃を目の当たりにした彼らの判断は早い。
すぐ近くにいた作業の担当者達。
指示を出していたその者達を捕まえ、倒していく。
当然ながらそれを止めに入る者達もいる。
警備や護衛などに来ていた兵士達だ。
しかし、それらも別の者達に捕らえられて殺されていく。
その動きがあちこちに拡大していった。
近くに居る統治者側の者達を殺していく。
統治者側も同じである。
自分達が狙われてると察した者達の動きは早い。
周りの者達を切り捨て、身の安全をはかっていく。
州都内で殺し合いが発生していく。
それは瞬く間に拡大し、全域を巻き込んでいく。
もちろん、全員がそうしたわけではない。
そんな州都からなんとか逃げだそうとした者もいた。
避難をしている民衆などは特に。
もとより戦闘に巻き込まれる事を懸念した者達だ。
そのまま都市内から逃げだそうとしていく。
しかし、避難の途中でそれも遮られる。
州都をまわってきたトモル側の戦闘車両。
そして、兵員を搭載した自動車達。
それらが逃亡しようとする者達を攻撃していく。
「要件を満たさず逃亡する事は認めない」
音声拡大によって攻撃意図があきらかになる。
「安全に外に出たいなら、提示したものをもってこい」
これで安全な避難・逃亡は出来なくなった。
閉じ込められた形の州都の住人達。
それらは互いに殺し合いを始めていく。
生き残るために。
期限までの二時間。
統治者達と民衆達は互いに殺し合いを続けていった。
しかし、互いに決め手に欠くまま、時間を浪費していく。
統治者達は武器もあるし、戦闘訓練も受けている。
雇われた冒険者もいて、その為に戦闘力は高い。
民衆のほうは武装も訓練もほとんど受けてない。
徴兵されて戦闘訓練を受けた者はいるが。
全体的に戦闘力は低い。
だが、人数ははるかに多い。
質と数がぶつかりあう形になっている。
どちらも決定打を欠くままに血みどろの争いを繰り広げていく。
そうしてるうちに二時間が経過する。
残念ながら、民衆は統治者を倒すことは出来なかった。
統治者も民衆を退けきる事はできなかった。
トモル側が攻撃を中止する条件は満たされてない。
「攻撃開始」
旅団長は情け容赦なく命令を下す。
州都内部がどうなってるかなど気にもせず。
部下もそれを聞いて指示に従っていく。
彼らが求めていたのは、敵の数を減らす事。
その為に多少なりとも内部分裂していてくれた方が良い。
それだけの事だった。
とはいえ、時間までに民衆が統治者を倒してれば、攻撃するつもりはなかった。
約束は約束なので、破るつもりはない。
それに、彼らが求めてるのは、楽して攻略する事。
民衆が統治者を倒してくれれば、それは達成される。
そうなる事を望んでいたのだが。
「やむをえん」
時間は既に来た。
結果は出てない。
なら、やるべき事をやるだけである。




