42回目 幸運(あるいは不幸)は向こうからやってきてくれた
辿り着いた学校には、結構な数の生徒が集まっていた。
県内から集まるのだから当然かもしれない。
新入生だけで100人は超える。
学校全体ではおそらく数百人。
かなりの規模だ。
これらが寄宿舎で一緒に暮らしていく事になる。
(鬱陶しい……)
心底そう思った。
他人と一緒の生活というのが既に鬱陶しい。
それをこれから数年は続けねばならない。
それがとんでもなく面倒でどうしようもなかった。
ただでさえ寄宿舎という堅苦しい生活を強いられる場所である。
そこに同室の者達がいるというのがもう最悪だった。
(本当にどうにかしないとなあ……)
まずは同室になる者達をどうやって掌握するかである。
これがまず最初の関門だと思った。
また、教師や学校の職員なども制圧せねばならない。
少なくとも、話を通しておかねばならない。
これからの活動において、邪魔にならないように。
(やる事に口出ししないでいてくれればいいけど)
その程度で構わないのだが、生徒を預かる立場からすればそうもいかないだろう。
だから何らかの工作が必要になる。
その為に何がどの程度必要になるのか。
そこも調べていかねばならないだろう。
何にせよ、これから始まってしまう邪魔でしかない学校生活。
これを少しでも快適にするために、邪魔になる障害を排除せねばならなかった。
その為に人を懐柔、あるいは服従させねばならない。
なるべく穏便に済ませたいが、それが出来ないなら手荒な手段も考えねばならない。
あわせて口封じもせねばならなくなるだろう。
それをどうやってやるのかを悩んでしまう。
だが、機会は意外と早く訪れた。
というより、入学したその日にやってきた。
入学式が終わり教室と寄宿舎の案内が終わったところで、寄宿舎の上級生からの呼び出しが行われた。
何事かと思って集まる新入生達を、上級生が取り囲む。
その雰囲気のものものしさに、新入生の大半が息をのむ。
その中で一人トモルは、
(ああ、これは……)
と何となくこれから起こる事を察した。
あまり当たってほしくない事だったが、残念ながらその夜起こった事はトモルの予想通りのものだった。




