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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第11章

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417回目 州都攻略 7

 今回集められた兵士は、職業軍人である。

 徴兵ではない。

 言い換えれば志願兵だ。

 そのほとんどは戦争を覚悟で兵士になった者達である。

 だが、だからといって、本当に命がけで戦争をするというわけではない。



 そんな志願兵であっても、逃げ出す者はいる。

 無理矢理つれてこられた徴兵というわけではないのに。



 そうした者達が敵へ向かう事無く離脱を始める。

 それを見た他の者もつられていく。

 自分からやりだそうという度胸はなくても。

 他の誰かがやってれば追従する。

 そんな事があちこちから起こり始めた。



「おい、何をしてる!」

 見とがめた指揮官が、逃亡者を切り捨てる。

 当然の処置だ。

 敵前逃亡、しかも大事な時にである。

 言って止めるなどという悠長な事は出来ない。

 厳正な処分を即座に下してでも規律を保たねばならない。



 しかし、それを見て素直に従う者ばかりではない。

 そんな指揮官を見て、逆に斬りかかる者も出てくる。



 逃亡者を切り捨てた指揮官。

 その直ぐ近くに居た兵士は、そんな指揮官を手にした槍で貫いた。

 一人ではない。

 三人、四人と続いていく。

 そうして指揮官を殺した兵士達は、顔を見合わせる事無くその場から逃げだそうとした。



 そんな事があちこちで起こる。

 逃げ出す者と、突進する者が衝突すら起こしていく。



 この時点で、戦闘部隊としての機能は崩壊したと言っても良いだろう。

 それでもない、命令に従おうという者もいたが。

 そんな者達も逃亡者の群れに押し流されてしまう。

 突撃は途中で止まる。



「撃てえええええええ!」

 絶好の機会である。

 敵は自ら動きを止めた。

 それを見逃すほど、トモル勢はぼんくらではない。

 団子状態になった敵に向けて、次々に射撃を加えていく。



 この瞬間に、かろうじてあった敵の勝機が失われた。

 もし、そのまま突撃をしていたら。

 犠牲は大きかったにせよ、勝つ事は出来たかもしれない。

 しかし、そんな死ねという命令を素直に聞く者がどれだけいるのか。



 人としての情。

 それを無視した命令だった。

 そんなものを素直に聞くような輩は少ない。

 それでも命令を出せたのは、武家である将軍だからであろう。



 命を惜しむな、名を惜しめ。

 武家に伝わる事がである。

 死ぬのは当然、それよりも名誉や名声が損なわれるのを恐れよ、とでもなろうか。

 戦うのが仕事の武家ならば、それも成り立つだろう。



 そんな武家の出身者である将軍だからこそ、突撃という非情の命令を出せた。

 しかし、命令を受ける側にそんな覚悟はない。

 たとえ武家の出身者であってもだ。

 教え通りに動く、名を惜しみ命を惜しまぬ者はやはり少ない。



 それが将軍の限界だったのだろう。

 確かに勝つことは出来る。

 しかし、その為に多くの者を殺す。

 死ねと言われた者達が、その指示に従うかどうか。



 その結果が、はっきりと出ていく。

 混乱をおこし、壊滅していく敵・藤園側と。

 ギリギリのところで難を逃れたトモル側として。



 進もうとする者、逃げる者。

 その両者によって動きを止めた藤園側。

 対して、一方的に攻撃を続けるトモル側。

 もはや戦いにすらなってない戦闘は、当然ながらトモル側の勝利で幕を閉じていく。

 藤園側の、州都防衛側の潰滅的敗北という形で。



 的になった藤園側は次々に倒れていく。

 トモル側としてはありがたい事だ。

 それを見て、藤園側の将軍も撤退を決意する。

 ただそれは、秩序立った動きによるものではない。



 慌てふためき、我先に逃げ出す。

 一人一人が別方向に走り出す。

 そのせいで互いに邪魔し合い、結局足止めをくってしまう。

 集団としてまとまっていた事が徒になった。



 結局。

 撤退に成功したのは8000ほど。

 他は戦場で散ったか、いずこへともなく逃げていったか。

 いまだ数の優勢は続いてるとはいえ、軍勢は当初の2割にまで落ち込んでいた。



 それに対してトモル側の損害は無し。

 一人も欠けることなく戦闘を終える事が出来た。

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