413回目 州都攻略 3
2500 対 4万。
壮絶な兵力差の戦闘は、敵軍が集結した瞬間に始まった。
先に州都郊外に陣取ったトモル軍。
それが動かないように釘付けするために敵軍は集結していった。
それが期せずして会戦の様相を呈していく。
トモルからすれば、それを狙ったというのもある。
できるだけ敵を引きつけるため。
その為に、敵が無視できない場所に陣取った。
簡単に州都を攻め込める位置に。
それもあって、敵はトモルの軍勢を無視できなかった。
その狙いが分かっていてもだ。
出来るなら敵は、目の前のトモル軍を無視して、後方に回り込みたかった。
そうして敵の補給線を分断。
取り戻せるなら、占領地の奪還。
それして、トモルの勢力を疲弊させていきたかった。
そうなったら、トモル側の勝機は減っていただろう。
否応なく消耗戦に引きずりこまれ、かなりの無理を強いられた。
最終的に勝つにしても、痛手は大きなものになったはず。
それがそうならなかったのは、トモルにとって幸いだった。
また、敵がまだトモルの軍勢をしっかりと把握出来てないというのもある。
武器や装備の違い、それがもたらす効果。
これを分かっていないから対応を間違えている。
もし敵がトモルの軍勢の銃や砲の威力を知っていたなら。
正面切っての戦闘は避けていただろう。
だが、その情報は敵には届かなかった。
生存者が極端に少なく、トモル側の戦法が伝わらなかったからだ。
断片的に伝わる話もあったが。
それだけでは分析もままならない。
その為、敵はトモルへの対応に困る事になっていた。
自然と、定石通りの対応をとるようになる。
それは悪い事ではない。
定石や定番は、そうそう外れた手段ではないからだ。
間違いというわけではない。
ただ、情報がない事。
それが敵の明暗を分ける事にはなった。
それは、敵が劣ってるわけでも愚かなわけでもない。
ただ、運が悪いとしか言いようがなかった。
敵は決して無能ではない。
有能ではないにしても、特別劣ってるわけではない。
ただ、情報が少なかった。
そして、その為に対処に手間取った。
それだけである。
それでも、警戒はしていた。
情報が入らないという事から、何かしらの事態が起こってると。
それが悲惨なものである可能性も考えていた。
だが、どれだけの惨状になっているのか。
それが分からなかったから、適切な対応が出来なかった。
哀れ、としか言い様がない。
必要な情報を得ることが出来ず。
適切な対応をとっても、それが有効とは言えないのだから。
だが、そんな敵の問題は、対する側にとっては利点である。
かわいそうに思えても、容赦なく突かねばならない。
でなければ、自分達が死ぬ。
その両者が動き出す。
戦闘がついに始まった。
迫る敵。
そんな敵に向けて、まずは長距離砲が火を噴いていった。
榴弾が飛び、着弾点を中心に敵を撃滅する。
固まって行動していた敵は、次々に倒れていった。




