402回目 間近にいる敵勢力をまずは叩く
県外へと飛び出した部隊は、州の各地へと分散していく。
そのほとんどは、調略を終えた地域へ進出。
現地の領主と合流していく。
そして、合流して兵力を増した軍勢で周辺を制圧していく。
移動に可能な限り馬車を用いてるので、進撃速度は速い。
足による移動ではない強みだ。
これにより素早く合流はなされ、周辺の制圧に取りかかる事が出来る。
ただ、そうもいかない地域もある。
藤園側の貴族で、有数の兵力を持つ者もいる。
それらに対抗するには、トモル以外の軍勢では厳しい。
いくつかの敵勢力は、当面は無視する事となる。
下手にちょっかいを出して反撃を食らうわけにはいかない。
対応として、それらは動きを監視するのが第一。
動き出した時に対抗出来るよう、防備を築いて対応する。
敵を倒す事は出来ないが、にらみ合いになればよい。
相手の動きを止める事が出来れば、それだけで大きな成果になる。
その為にも、より大きな兵力を確保せねばならない。
合流を急ぐのはこのためだ。
敵に対抗できるだけの力がなければ、にらみ合いにもならない。
こうして州内の敵を止めていく。
そうしてくれれば、州都攻略も楽になる。
倒さなくてもいい。
動きを止めてくれるだけで。
トモルが他の軍勢に求めたのはこれだった。
とはいえ、そういう対応でおさまるものが全てではない。
どうしても倒さねばならないものもある。
イツキヤマに隣接する県。
そこにいる、藤園側の貴族。
それはこの周辺では巨大で、大きな障害となる。
それに対応するだけで、かなりの兵力を割かねばならない。
なので、これだけは最初に叩き潰す事にしていた。
その為の軍勢が動く。
主力はトモルの軍勢。
一個連隊、約1200人
これが敵の掃討にあたる。
補助として、タカヤス配下の貴族達の軍勢がつく。
これらは戦線の構築や輸送・補給路の確保につく。
それが総数500ほど。
この1700あまりの軍勢が隣接する県にいる敵に向かっていく。
対する敵対勢力は、総勢500。
傘下の貴族全て含めても1000になるかどうか。
数字だけ見れば、タカヤス勢の方が優位に見えるだろう。
ただ、タカヤス勢の全てが戦闘部隊というわけではない。
主力であるトモルの軍勢も、輸送や補給で全体の半分以上が占められている。
純然たる戦闘部隊は、600になるかどうかというところ。
対して敵勢力1000ほどは、その全てが戦闘部隊だ。
この部分だけみれば、タカヤス勢の方が不利である。
敵の半分しかいない。
言い換えるまでもなく、二倍の敵を相手にする事になる。
どう見ても不利としか言えない。
しかし、トモルは臆すことなくこの兵力を送り込む。
「本当に大丈夫なのか?」
心配するタカヤス。
そんな当主家の主に、
「大丈夫です」
はっきりと言い切る。
その答えは、程なく出た。




