381回目 大変な話が終わったと思ったら、主に家庭的な大変な話になっていく 2
トモルの子供達もすくすくと成長している。
今は第一次反抗期で何でもかんでも「いやいや」と言っている。
それで手こずる事もあるが、それもまた成長の証と受け止めている。
「大変ではありますが」
そう言って苦笑する。
「何、子供とはそういうものだ。
そんな子供もまたかわいいものだろう」
「ええ、まあ、そうなんですけどね」
不思議とその通りだった。
面倒で手間がかかるのだが。
不思議とそんな子供の相手は苦ではない。
「生まれた時はそんなにかわいいとも思わなかったんですけどね」
「まあ、そんなものだ」
辺境王族は頷く。
「儂も初めて見た赤子はそれほどかわいいとは思わなかったからな」
「殿下もですか?」
「ああ。
それが不思議なものだ。
時間が経つにつれてかわいいと思えるようになってくる。
ああ、これは息子には内緒にな」
そういう辺境王族はいたずらっ子のような顔をした。
「だが、男と女の違いなんだろうな」
感慨深く辺境王族は語る。
「女は腹を痛めて産む。
そうでなくても十月十日の間、我が子と一緒だ。
自然に我が子と思う事が出来るんだろう」
「確かに」
その可能性はあるだろうと思えた。
「だが、男はそうではない。
どうしたって接点が少ないからな。
生まれてようやく対面だ。
待望はしてても、愛着はなかなか」
嫌いなわけではないが、どうしたってすぐには感動出来ない。
「だから生まれてからの触れあいが必要になる。
こればかりは仕方が無い」
「なるほど」
そして、二年三年と経ち。
なるほど、確かにトモルは子供に愛着をもつようになった。
色々と手間と面倒がかかるが。
「ま、父親と我が子の接点なんて、仕事で一緒になるまで無いようなものだ。
そこで教え教えられて関係が出来上がっていく」
それも辺境王族の実感だった。
「それで上手くいくかどうかは、また別だが」
それも辺境王族の実感なのだろう。
「上手くいってると思いたいが」
そんな辺境王族の言葉がトモルの気持ちをほぐす。
なるほど、そんなものかと。
何より、自分のように感じている者は一人ではない。
それが気を楽にさせた。
「なら、これでいいんですかね」
「いいのではないかな?
儂も何が正解なのかは分からんが」
それも正直な気持ちなのだろう。
「でもまあ、頑張らねばならんな」
「はい」
「子供達の為にも」
「はい」
その通りである。
月並みだが、我が子のために。
そう思えるようにもなってきている。
子供達がまともに生きていけるように。
その為に出来るだけの事をしたいと。
「がんばりたいと思います。
俺が見てきたような馬鹿な事に巻き込まれないように」
「ふむ。
何を見てきたのかは知らんが。
そうであるように頑張らねばな。
先に生まれた者として」
「はい」
先に生まれたから。
それがどれだけの理由になるのかは分からない。
だが、先に生まれたから、後に生まれた者の為に頑張る。
それもまた、生きとし生ける者のつとめであると思えた。
「それとな」
「はい?」
「待たせてる者がいるのだろう。
早くもらってやれ」
「あ、はい」
釘も刺される。
トモルが後回しにしている事の一つ。
その中に、ナオとケイの事がある。
そのうちめとるつもりでいたのだが。
なかなかその機会もなく今に至る。
「確かに、その通りですね」
「であろう?」
辺境王族の言葉に頷くしかなかった。




