31回目 知り得た事実と自分の現状とこれからの抱負
(いやいや、そうだとすると)
あらためて自分の能力値を思い出す。
成人時点での能力値であろう400という数値。
これはまともな成人のレベル5の状態の2倍ほどの数値という事になる。
しかも、まだレベル4だ。
もしこの調子で成長していくとなると、おそらくレベル5になった時点での能力値は500になるだろうか。
(本当かよ?!)
飛び上がって驚きそうになる。
恐ろしいほど高い能力値をトモルは持ってる事になる。
冒険者達と別れ、自分の部屋に戻ってきたトモルは、あらためて自分の能力値を見つめる。
先ほどの話を思い出しながら目の前の数値を見る。
「嘘だろ……」
呆然と呟く。
もし先ほどの話が本当だったら、トモルはとんでもなく高い数値を持ってる事になる。
今はまだ子供だからさほど高くはないが、この先成長したら、おそろしい数値になっていくだろう。
正直、今の段階でレベルアップを止めたとしても、成人した時には普通の人間の2倍の強さだ。
「なんでこんな事に……?」
ふってわいたというか、持って生まれたというか。
思ってもいなかった自分の持ってる能力にただただ驚くしかない。
(とりあえず、元々の数値は他の人と同じだったって事か?)
かつてレベル1だったころの数値を思い出す。
確かあの時は、成人時能力値は全部100だったはずだ。
つまり、かなり平均的というか、完全に水平な能力値であった。
しかも秀でてる所が何も無い、ごく普通の一般人の標準値だった。
それがレベルが上がるにつれて100点ずつ上乗せされていっている。
はっきり言って異常だ。
通常は10~20点の増加であるというのだから。
トモルは一回のレベルアップで他の人の5~10倍ほど能力値が上昇してる事になる。
もの凄く単純に考えて、レベル4の今の時点で既に他の人のレベル20くらいに匹敵する事になる。
あまりにも異常だ。
もしこのまま普通にレベルアップを続けていったら、どんな数値になるのか分からない。
(どうしよう)
なぜだか色々怖くなってきてしまった。
だが、そう思いつつもこの状態がいつまで続くのかとも考えていく。
もしかしたら、幼少期だけのボーナスなのかもしれない。
この時期にレベルアップしたら、莫大な成長が出来るのかもしれなかった。
当然成人以降のレベルアップでは、他の人間と同じくらいの上昇率になるかもしれなかった。
だとすれば、今のうちに出来るだけレベルを上げておくのが得策になる。
(成長出来るなら、可能な限り上昇させておきたいし)
才能も金も運も、あればあるだけ良い。
そんなものは必要無いというのは、物を知らない者達の戯言である。
やれる事や出来る事の幅が拡がると、選択や行動の自由が生まれやすい。
それを自ら放棄するのは愚の骨頂だ。
(控えめに生きても幸せにはなれなかったし)
前世の自分を振り返って思う。
誰かに何かをゆずっても、見返りが得られる事はなかった。
むしろ、無理でも無茶でも何かを求めていった方が、手に何かを掴む事が出来た。
そして、その為には力が必要である事も確かなのだ。
(だったら、徹底的に強くなってやろう)
この瞬間、トモルはレベルアップを積極的にしていく事にした。
他の全てを擲ってでも。
邪魔するものは全て粉砕する覚悟で。




