286回目 やらねばならない様々なお仕事 4
教育をする者達の意識の問題もある。
知識はともかく思想において偏っていたらどうにもならない。
この場合、貴族至上主義などがこれにあたる。
貴族の教育をしていた者達には大なり小なりこれがある。
そうでなくても教え子を不当に扱うような思考や思想の持ち主は困る。
このあたりは考え方というより気持ちの問題である。
心のあり方がどうなのかという事になる。
学歴偏重。
優等生へのひいき。
劣等生の排除。
仕事への熱意。
あげていけば切りがないほどの問題はある。
これらは人間である以上避けられない部分はある。
しかし、問題になるほど前面に出てもらってはこまる。
これを少しでも矯正するために魔術を用いた。
精神介入である。
これでまずどういった気持ちでいるのかを聞き出す。
その上で、それらが出ないよう精神介入していった。
効率的な洗脳とも言う。
褒められたものではないが、短時間で効果を出すにはこれ以外に方法がなかった。
そんなこんなで色々と問題を抱えつつも教育体制を作っていった。
全てが試行錯誤で、つぎはぎだらけのようなものであった。
だが、欲しい人材を確保するためには避けて通れない。
続けていればやがて教育を修了した者も出てくる。
それらがトモルの支配体制を底から支えてくれる。
そう信じてとにかく続けていくしかなかった。
ただ、小学校程度の学習度で終わってもらっては困る。
出来るならば高等教育。
そして大学も作り、やがては研究所なども設立したかった。
求める科学水準に到達するには、こうしたものが絶対に必要になる。
その為の人材を育成するためにも、苦しい今という時期を乗り越えねばならなかった。
前途は多難すぎたが。




