274回目 対抗出来る体制と体勢作り
(けど、まずは自分の足下か)
対策はしておきたいが、そうも言ってられない。
トモルはトモルでやらねばならない事が山積みだった。
(こっちも対抗出来るようにしておかないとどうしようもないしなあ)
まずは自分の勢力作りが大事だった。
国そのものが敵に回ったと言ってもよい。
そういう状態を作ってしまった。
仕方が無い事だし、嘆いてるわけでもない。
それも覚悟の上でやってきたのだ。
だからこそ対抗出来る体制を作らねばならなかった。
でなければ負けてしまう。
もう戦いを回避出来る段階ではない。
明確に敵対、少なくとも対立している。
関係の修復が不可能なほどに。
そうであるならばやる事は一つしかない。
相手よりも巨大な立場を、少なくとも対抗出来る勢力になっておかねばならない。
だからこその勢力作りである。
やる事に変わりはない。
教会勢力をまずは排除して、新宗教を送り込んでいく。
これにより情報漏洩を防いでいく。
また、改宗による民衆の取り込みも同時に行なっていく。
精神的な部分で滲透していき制圧する事を考えると、宗教は便利な道具である。
それを利用しない手はなかった。
そうやって引き込んだ民衆には、働く場所を提供していく。
トモルの行なっているモンスター領域の開拓だ。
余り気味だった子弟達がこれに飛びついていく。
危険はあるが、それでも家で冷遇されるよりは良い。
冷遇は無いにしても、先のない生活を続けるよりも夢があった。
自分にも独り立ちする可能性があると思えば、多少の苦労は問題にはならない。
誰もがこぞって新領域へ出向いていった。
この流れは拡大していき、周辺どころか県内のあらゆる所から移住希望者が殺到してきた。
人口は一万人を簡単に突破していく。
人手不足であえいでいたトモルの領域が一息吐くことが出来る程である。
それでも人の流れは留まる事を知らず、移住希望者は後を絶たない。
それだけ余剰人口が多かったとも言える。
各家庭に一人くらい冷や飯食らいがいるのが当たり前だったのだから。




