27回目 狩りの成果
やる事は単純だ。
閃光で目を奪い、土を泥にして足をとる。
これで動きを止めてるところを袋だたきにしていく。
たったこれだけだ。
だが、効果は歴然としている。
「すげえな」
あっという間に何匹ものモンスターを倒し、冒険者達は驚いた。
巨大バッタ程度で手こずる事はもちろんない。
だが、それでも普段よりも格段に簡単に倒す事が出来た。
「どう?
これなら文句はないでしょ」
そういうトモルの言葉に頷くしかない。
「ああ。
正直、見くびってた。
でも、これだけ出来るならな」
使ってる魔術は直接的な威力のあるものではない。
だが、効果的に使う事で大きな威力を発揮している。
組み合わせそのものは単純だが、そういった事に気づく者もそれほど多くはない。
それを、まだ子供がなしてるのだ。
驚嘆するには充分だった。
その実力共々評価するしかない。
「魔術があるだけでこんなに違うとはな」
「俺の腕も評価してよ」
「ああ、もちろん。
助かるよ」
「じゃあ、一緒に行動してもいいよね?」
そう尋ねるトモルに、冒険者達は苦笑する。
「そうしてもらいたいものだな」
「けど、さすがにお坊ちゃんを連れてくとなるとね」
「領主様にみつかったら面倒だ」
全員、そう言って問題点をあげていく。
やはりネックになるのは親の存在だった。
そして地位も今は足かせになる。
こればかりはしょうがない。
けど、トモルはくじけなかった。
「それならしょうがない。
けど、出来る時だけでいいから、俺も外に連れていってくれよ」
「そうだなあ……」
「まあ、面倒がないってんならな」
「上手くやっていければいいけど」
まだ完全に承諾してるというわけではないが、冒険者も乗り気になってはいる。
問題を上手く解決出来れば、トモルを連れて行く事もやぶさかではないようだった。
「まあ、さすがにそう上手くはいかないけど」
それはなかなか難しいのはトモルも理解してる。
だから、ある程度以上の無理は控えるしかなかった。
「出来る時はよろしくね」
ここが最低限の妥協点である。
常にでなくてもいい。
出来る限り外に連れ出してもらえれば御の字だ。
冒険者の方もそれを承知する。
「ああ、その時は頼む」
これで懸案の一つは解決した。
「あとついでにお願いしたい事があるんだけど」
「なんだ?」
まだあるのか、と冒険者達は驚く。
「あまり無理は言わないでくれよ」
「分かってるよ。
たぶん、もうちょっと簡単なお願いだから」
そう言ってトモルは要望を口にした。
「町に戻ったら他の冒険者にも、ここの事を伝えてもらいたいんだ。
そこらにモンスターがいるから、稼げるって」




