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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第7章

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263回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 15

 土壁の内部に冒険者が突入したすぐ後ろ。

 捕らえた信徒共を乗せた護送車がついていく。

 それらに乗せられた信徒共は、行く先々で見せられた処刑風景に心身共にまいっていた。

 おまけに、護送馬車の中にはその時の死体が放り込まれている。

 それらと一緒に乗せられてる信徒共は、あまりのおぞましさに精神の平衡を保てなくなりつつあった。

「いつまでこんな目に……」

「勘弁してくれ……」

 そんな言葉があちこちから上がる。

 しかし、そうやって呟く事が出来るならまだまともであった。

 そうでない者達は、既に意味のない言葉を口から漏らすだけになっている。

 あるいは、焦点の合わない目で、ここではないどこかを見つめていた。

 だが、彼等の苦難は終わらない。

 更なる地獄をこれから見る事になる。



「来たな」

 到着した馬車を見て、トモルは準備がととのっていくのを感じる。

 捕らえてまだ始末をしてない連中には、一連の出来事の最後を飾ってもらわねばならない。

 その為に、彼等には特等席に移動してもらう必要がある。

 事前に指示した通りに馬車から馬が外され、準備は着々と進んでいく。

 馬と御者が離れていくのを見て、トモルは魔術を使った。



「な……」

「なんだ?」

「まだ何かあるのかよ」

 護送車の中でぼやいていた者達は、馬車の揺れを感じて不安を抱いた。

 だが、その反応は鈍い。

 悲惨なものを見てきて、今も死体と一緒という最悪な状態に置かれた彼等は、心がすり切れていた。

 その為、何が起きても何も感じないまでに神経がすり減っている。

 馬車ごと揺れるのも、なぜだか感じる浮遊感にもさして動じない。

 彼等の心情をあらわすなら、

『今更どうだっていうんだ』

とでもなるだろう。

 なげやりにそう思うくらいに、信徒共は消耗していた。

 いっそここで死ねるなら後腐れも無くなると思う程に。

 だが、トモルはそんな事を簡単に許すほど甘くはなかった。



「よう」

 せり上がってきた信徒共に声をかける。

 護送馬車の中にいる彼等は、返事もしない。

 ただ虚ろな目でトモルを見るだけであった。

 トモルも反応を期待していたわけではないので特に気にはしない。

 最後の仕事をしてもらうために、彼等にはもう少し元気でいてもらいたいとは思っているが。

「じゃあお前ら、ここで外で起こってる事をしっかり見ておけ」

 そう言ってトモルは、騒ぎが起こってる方向を示す。

 そちらを見た信徒共は、そこで起こってる出来事を見て目を見開いた。

「……あ、ああ……!」

 悲痛な声を漏らす彼等の目の先に、門前町が壊滅していく姿があった。



 魔術によって地面を盛り上げたトモルは、護送車を土壁の上に移動させていた。

 信徒共が感じていた浮遊感は、その時のものである。

 それはエレベーターによる上昇によって得られる感覚に似ている。

 そうやって持ち上げられた護送車は、念動の魔術によって土壁の上を移動させられていく。

 護送車が動くのに充分な幅を壁はもっている。

 その上から信徒共は、騒動の様子が一望させられる。

 目的は信徒共に自分達がどういう立場なのか理解させるため。

 そして、ここで何が起きたのかをしっかりと理解させるため。

 それがトモルの目的だった。



「な、なんて事を」

「酷い」

「あんまりだ」

 信徒共は口々にそんな事を呟いていく。

 そう言うしかないような事が起こってる。

 門前町に繰り出した冒険者達は、そこにる信徒や神官らを次々に倒していく。

 そこに一切の容赦はない。

 身分の貴賤も老若男女の違いもない。

 等しく全ての者を区別無く扱っていた。

 すなわち、破壊と殲滅。

 強化された能力によって振るわれる大金槌や大斧などが建物を粉砕していく。

 逃げ惑う者達は次々に倒されていく。

 それは一方的な蹂躙であった。

 戦闘でも何でも無い。

「なんでこんな事を……!」

 あまりの事に、信徒の一人が絶叫する。

 枯れ果てたと思っていた涙を流し、失っていたと思っていた声を振り絞り。

 そんな信徒にトモルは、

「何言ってんだ」

とにべもない言葉を返す。

「お前らがやってた事だろ。

 それをやり返してるだけだ。

 何が問題だ?

 自分がやられたら文句を言うのか?」

 どの口が言うんだ、というトモルの言葉に、信徒は返す言葉もなく呆然としていった。

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