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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第7章

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261回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 13

 実際、何一つ物事が良くなる事はなかった。

 能力強化魔術によって能力を増した馬によって引かれ、馬車は彼等が通り過ぎてきた村や町に入っていく。

 そこで彼等は、教会や礼拝所が打ち壊されるのを見せられた。

 残っていた信徒が処分されていくのも同時に。

 彼等の信じていたものが次々に壊されていく。

 信じがたい事だった。

 だが、何より信じられないのはそれだけではない。



「助けてくれー!」

 捕らえられた信徒が叫ぶ。

 そんな彼等はつるし上げられ、槍で体を貫かれていく。

 だが助ける者はいない。

 それを見物してる村や町の者もいるが、それらも信徒への仕打ちを止めようとしない。

 むしろ嬉々としてそれを見ていた。

「いいぞ!」

「もっとやれ!」

 そう囃し立てる者すらいた。

 信徒からすれば信じられない事だった。

「おい、同じ人間だぞ!」

「人が死ぬのがそんなに面白いか?!」

 まだ元気のある信徒は、鉄格子の中からそう叫んだ。

 しかし、

「うるせえ!」

「お前らみたいなの、さっさと死ね!」

 それが見物してる者達の声であった。



 信徒以外の者達からすれば、それも当たり前だった。

 信徒は神の言葉や教会の教えを理由に横暴の限りを尽くしたのだ。

 そんな連中がどうなろうと知った事ではない。

 むしろ、そうした連中が吊し上げられ、苦しんでる姿を見て溜飲が下がる思いだった。

「悪党はさっさと死ね!」

 それが信徒以外の一般庶民に共通する声だった。

 教会のしでかしていた事を知り、大半が怒りや憤りを抱いている。

 そんな彼等を虐げたのが信徒である。

 悪いのはどっちだという話である。

 彼等からすれば、信徒こそ悪人・悪党であり犯罪者であった。

 それらが取り締まられ、処分されていってるのだ。

 こんなに嬉しい事は無い。

 こんなにありがたい事は無い。

 おかげでようやく平穏を取り戻す事が出来るのだから。



 一般庶民からすればそれが当たり前の事である。

 彼等が求めてるのは平穏な生活であり、神や教会の教えではない。

 それらが平穏な生活をもたらしてくれるならともかく、実際は違っていた。

 自分達の悩みや問題を材料にして様々な問題を起こしていたのだ。

 そんな連中を許す理由など持ちはしなかった。

 むしろ、それを遮る者達こそ悪事に荷担する悪党でしかない。



「いい気味だ」

 そんな声があちこちから上がる。

 村や町に残っていた信徒は、神や教会を理由にして横柄な振る舞いをしていた。

 全てがそうだったわけではないが、そうしていた連中がいたのは確かである。

 それを苦々しく思っていた。

 だが、相手には数の暴力があるので迂闊に手を出せなかった。

 それでも何とか抵抗しようとする者達もいた。

 しかし、それに立ちはだかったのが、普段通りに過ごしていた信徒であった。

「あいつらの行動は目に余るが、暴力を振るったら奴らと同類だ」

「気持ちは分かるが、ここは俺に免じて許してやってくれないか」

 そう言って苛立つ一般庶民を押さえつけていた。

 馬鹿げた話である。



 奴らと同類だ────横暴を振るってる奴らを排除しようとする事がか?

 ここは俺に免じて────だったらお前は奴らの横暴を止めるのか?

 そんな思いが多くの者達の胸にわき起こった。

 しかし、信徒である相手に逆らったらどうなるか分からない。

 そういった恐怖が一般庶民達に我慢を強いていた。

 結局、得をしてるのは信徒だけという事になる。

 横暴な連中は横暴なままであり、我慢をさせられてるのは一般庶民だけなのだから。

 まともな生活をしてる信徒も、そんな連中を擁護するだけの同類でしかなかった。



 そんな連中もまとめて処分されてるのだ。

 こんな痛快な事は無い。

 吊されてる信徒共は、

「こんな事をして良心が痛まないのか?!」

「あんたらは堕ちる所まで堕ちるのか?!」

などと口にする。

 それを、

「黙れ、悪党!」

と一喝したのはトモルである。



「悪党共を処分して何が悪い!

 悪事を放置する悪行を成敗して何が悪い!

 悪事は許して他の者を虐げてきたお前らが何を言うか!

 お前らは悪事に荷担する共犯者だ!

 そして、悪事を潰すのは平和と平穏の為に必要な事だ!

 お前らを殺す事に何の問題もない。

 むしろ、お前らを放置する事の方が罪だ。

 許し難い大罪だ!」

 その声が各地の民衆の耳と心に突き刺さった。

 彼等が求めていた、そして抱いていた思いを明確に言葉にしてくれていた。

「そうだ!」

「その通りだ!」

 一般庶民はこぞって賛同した。



「こいつらはこれから処分する。

 しかし!

 その前にこいつらにやり返したい者はいるか?

 今までされてきた事を返したい者はいるか?

 いるなら少しだけ時間をやろう。

 遠慮無くやり返せ」

 おおおおおおおおお! と怒号が上がる。



 それから信徒にとっては辛い時間が流れた。

 棒や農具、投石で散々に打ち据えられていく。

 吊し上げられた信徒は、一般庶民の怒りをその身に受けていく。

 誰もが苦痛と苦難の中で身をよじっていった。

 それが暫く続いていく。



「よし、そこまで!」

 ある程度時間が過ぎたところで、トモルは一般庶民を止める。

 止まらない者もいるが、それらは冒険者が引きはがしていく。

 吊された信徒の周りから人が離れたところで、トモルは最後の宣告を行なった。

「こいつらに最後の慈悲を与える。

 教会の言う神を信じてる連中だ。

 このまま神の所に送ってやる」

 そう言って最後の作業を開始する。

 槍を持った者達が信徒を次々と貫いていく。

 急所を狙うというような難しい事はしない。

 数カ所ほど体に貫通坑を作っていく。

 あとは最後が来るまで放置する。

 処分はこれで終わりだった。

 吊された者達は、自分の体から溢れていく血液と体温を感じながらわめいた。

「嫌だー!

 死にたくないー!」

 その声は、遠巻きに見させられていた護送車の信徒共の耳を打った。



 こうして信徒による問題が片付き、町や村にようやく平穏が戻ってくる。

 生活を脅かしていた者共が消えて、一般庶民はようやく普段の生活に戻っていける。

 それをもたらしてくれたトモル達に感謝を口にして、彼等は移動していくトモル達を見送った。

 なお、息絶えた信徒共の骸は護送車に放り込まれた。

 おかげで村や町で後始末をする必要も無い。

 その事も含めて、彼等はトモル達に感謝をした。



 護送車の中の信徒共はその扱いにうなだれるしかなかった。

 自分達が信じていた者が崩されていく事に呆然として。

 他の者達が自分達にふるう仕打ちに震えて。

 何でこうなった、どうしてこうなると思いながら。

 そんな彼等を乗せて、トモル達は先に進んでいく。

 この近隣にある教会の中心となる場所。

 門前町のある所へと。

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