257回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 9
先駆けるトモルは、即座に信徒共を視界に捉える。
そこで一旦足を止めたトモルは、即座に魔術を用いていく。
すぐに殺すためではない。
まずは足を止めるためだ。
信徒がそれに気づいた時には既に手遅れになっていた。
何せ足下の大地がいきなり盛り上がっていったのだから。
分厚く高い壁になった大地が彼等の周囲を囲む。
彼等は身動きがとれなくなった。
「なんだ、こりゃ」
「どうなってる」
「いったい、どうして」
疑問の声があちこちから上がる。
これが魔術によるものだと察知出来た者はほとんどいない。
不可思議な効果をもたらす魔術であるが、これほど巨大な効果をもたらすとは思わなかったからだ。
魔術について知ってる者もそれは同じだった。
なまじ魔術の効能がどの程度なのかが分かるだけに余計だった。
目の前で起こったような大規模な効果を出せるとは思いもしない。
その為、信徒共は何が起こってるのか全く分からなくなっていた。
自分達が閉じ込められたという以外には。
そうしてるうちに冒険者達が追いついてくる。
それを見計らってトモルは、壁の一部をもとに戻した。
冒険者達がやってくる、柊領に向かう方向だけを。
信徒の逃げ道は塞がれている。
垂直にそびえ立つ20メートルの壁を登るなら別だが。
あるいは、10メートルはある壁を掘り進めるならともかく。
即座に動ける方向は一つしかない。
両者の衝突はこの時点で決定事項になっていった。
それを拒む信徒ではない。
もともと柊領に神の鉄槌を下すためにやってきていたのだ。
その方向が開かれたのは僥倖でしかない。
そちら側から武装した者達が迫ろうとも、それで引き下がるという事は無い。
「行くぞ!」
「おお!」
誰かのあげた声に、他の者達も呼応する。
手に棍棒やら手斧やらを握った信徒共は、己の信ずる何かに従って突進していった。
相対する冒険者達は、そんな信徒に弓を向けていった。
好んで接近する必要は無い。
まずは遠距離から攻撃をして数を減らす必要がある。
彼等はそれを淡々とこなしていった。
横一列に布陣した冒険者達から、弓弦を鳴らして矢が放たれる。
それが次々に信徒共を貫通していった。
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