253回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 5
森園家で聞き出せるだけの話を聞きだし。
その事を公衆に暴露させていく。
森園の当主自らの口から。
また、当主以外の繋がりについては、娘のスミレの口から。
貴族社会における繋がりを多くの者達が聞いてる所で白状させる。
同時に、教会との接点ややりとりも知らしめ、それによって何を為してきたのかを喧伝させた。
事の次第を行商人や旅芸人などに広めていくのも忘れない。
これにより民衆の不信感は更に高まりをみせた。
呆れると言った方がより近いかもしれない。
支配体制を確立するためにそこまでやってるのかと。
また、安易に教会に頼る事や、懺悔をする事の危険性もより周知されていく。
誰にも知られずに済むと思っていたが、口にした事を利用されていたのだから。
ましてそれが、支配者である貴族に筒抜けで、それが原因で様々な対策をとられているのだ。
誰だって不信感を抱き、疑惑の目を向けるのは当然だろう。
それがより高位の貴族の口から発せられたのだ。
信用や信頼が下がるのは避けられない。
即座の離反がないにしても。
とはいえ、どんな状況に陥っても考えを変えない者というのもいる。
それが事実であろうが無かろうが、とにかく信じた者を最後まで信じようとする者だ。
こういった者達は事実がどうであろうと、自分の信じる者を決して変えようとしない。
よくよく考えればおかしい事であっても、そうやって考える事すら拒否してしまう。
こういった者達には何を言っても無駄である。
たとえ真相が発覚したとしても考えを変えない。
それどころか、自分に都合の良い妄想を発生させ、それを理由に信じようとする。
また、自分の信じてる事以外の考えをしてる者を敵として攻撃をし始める。
こういった者達によって、民衆は二手に分かれていった。
貴族や教会に見切りを付ける者達と、それでも貴族や教会を信じる者達とで。
それを見てトモルは次の行動をとっていく。
貴族や教会を信じる者達の殲滅である。
話し合いも出来ない、攻撃する事を躊躇わない連中だ。
穏便な解決などあり得ない。
下手に宥和政策などを出したら、被害が拡大する。
そんな事をしてる間に、相手は次々に攻撃を繰り返し、敵と見なした連中を殲滅しようとするのだから。
だからこそトモルは、最初の段階で敵に回った者達を殲滅していった。
情けなど一切かけない。
恩を仇で返されるのが必然だからだ。
少なくともトモルの権限の及ぶ範囲ではこれが徹底された。
おかげで貴族や教会に味方する者は一人として存在しなくなる。
この事は自分の配下にいる貴族を通じて友好的な所にも通達した。
早めに手を打たないと悲惨な事になると。
しかし、トモルほど割り切れる者はいない。
大半の者達は、
『さすがにそこまではしないだろう』
という安易な予想を打ち出していく。
また、
『それはそうとしても、話し合いもしないで事を起こすのはいかがなものか』
という似非道徳を持ち出す者もいる。
『どんな相手であっても、誠意は見せねばならない』
という偽善者もいた。
それらが理由にする人間性を無視した道徳観や倫理観をもとにして。
そういった者達に対してトモルは、特にこれといってあれこれ強要する事はなかった。
『それならそれで』
とあっさりと引き下がった。
所詮は他人事という態度をとった。
どうせすぐに結果は出てくると考えて。
その考え通り、答えはすぐ出てきた。
教会や貴族の反抗という形で。
今回も少しだけ感想を開いてみた
何かあればすぐ閉じる
何も無くても今日中には閉じる




