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【完結】なんでか転生した異世界で出来るだけの事はしてみようと思うけどこれってチートですか?  作者: よぎそーと
第7章

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252回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 4

 もはや定番となりつつある、夜の作業。

 今回の対象は森園家。

 その内部に侵入していく。

 探知魔術で魔術による警戒装置などを破壊。

 警備についてる者達には、精神操作魔術でトモルの存在を認識できないようにしていく。

 そうしてから内部に入り、目的である森園家当主などを叩き起こした。

 当然、魔術で精神操作をして。



「……なるほど」

 聞きたい情報を粗方聞き出したところで、トモルは思案顔になっていく。

 上位の貴族が教会とどのように癒着してきたのかを垣間見たからだ。

 得られる情報そのものは小さなものだ。

 森園家は上位貴族としては末端なので当然である。

 それでもトモルのような貴族の中でも本当に下っ端とは違う。

(もっと上の連中から指示が来てるとはね)

 それだけの繋がりがあるというのが凄いところだった。

 もっとも、それは末端の構成員への指示という程度だろう。

 いくつかの領主を束ねる森園家ですらも、貴族社会では本当に末端なのだ。

 それが証拠に、森園家当主が受けていた指示は極めて小さなものである。

 しかも、指示を出されるだけで、提案や議論に加わってはいない。

 あくまで指示を受けて働く作業員といった風情であった。

(面倒なもんだな)

 相手の巨大さをあらためて感じた。



(やることは変わらないけど)

 相手の巨大さの一端を覗きはしたが、それはそれである。

 今更やる事を止めるつもりはない。

 トモルが止めたとして、相手も動きを控えるわけではないのだ。

 どうせ向こうもやってくる。

 ならば、徹底的にやり返すだけである。

 大人しくしてれば何も無い、などというのは夢想にすがる戯言でしかない。

 こちらが手を止めれば、向こうはそれに乗じて更に行動を激しくするだけである。

 それを止めるには、相手を凌ぐほどの力でねじ伏せるしかない。

(さて、当面はどうするかね)

 そこが悩みどころであった。



 このまま森園家の連中を泳がせるのも手段の一つだ。

 内部情報を得るならその方が良い。

 しかし、上位の貴族としては末端にいる森園家では、得られる情報も大したものではない。

 それでも情報が手に入るのは大きいのだが。

(……利点がないか)

 得られる利益と、被る損失の帳尻が合わない。

 どう考えても赤字になってしまう。

 そう考えるくらいの情報を得てもいた。



 森園家は上位の貴族から柊家を糾弾するよう指示を受けていた。

 それも教会から得た情報を幾らかもとにしているようだった。

 だが、それが無くても柊家に手を出そうとはしていただろう。

 そんな様子もうかがえる。

 柊家の発展がその理由だ。



 急速に勢力を伸ばす柊領。

 それを見て、貴族共も考えてはいたようだ。

 そこに食い込み、利権を手に入れたいと。

 そんな貴族連中が、教会から得た情報をもとにして、柊家を恫喝しようとしていたらしい。

 言いがかりを付けるともいう。

 何にせよ、柊家としてはたまったものではない。

 苦労して発展させてるものを、何の努力もしてない連中に強奪されるのだから。

 その尖兵となってる森園家を放置しておく理由がない。



(まあ、指示を無視させて、上の貴族の矢面に立たせる位は出来るだろうけど)

 せいぜいそのくらいが限界だ。

 時間稼ぎにしかならない。

 それはそれで大事ではあるのだが。

 しかし、根本的な解決にはならないだろう。

(まあ、こいつらにはそれで頑張ってもらうか)

 とりあえず、やらせる事は決まりはした。

 生かしておくつもりはないが、死ぬまでの短い間は頑張ってもらおうと。

 その為にやらせる事を、魔術で精神に刻んでいく。

「……頑張ってくれ」

 形だけの労いを残し、トモルは森園家当主のもとから去っていった。



「しかしなあ……」

 その後、この家の娘であるスミレの部屋に出向いてぼやく。

「まさかあんたがそういう繋がりを持ってるなんてね」

 魔術で精神介入をされたスミレを前に、愚痴ともつかない事を呟く。

 事情聴取の為に森園家の者達から情報を集めてる最中だった。

 スミレもその対象の一人であり、何か知らないかと思ってやってきていた。

 そこで思いもがけない事を聞いた。

(藤園と繋がりがあるとは……)

 トモルとて知ってる最大規模の貴族。

 そこのお姫様と繋がりがあるとは思わなかった。

(指示も受けてるようだし)

 子供の事なので出来る事に限りはある。

 しかし、その範囲でやれる事をするように言われてるようでもあった。

 貴族子弟同士で繋がりをつくり、柊家に対して一丸となって対処するように、とか。

 裏側での根回しを着々と進めてるようだった。

(そこまで頭が回るとはね。

 さすが藤園の姫さん)

 頭が回るのは確かなようだ。

 それだけに厄介である。

(こいつは気をつけておかないと)

 警戒すべき人物の一人が明らかになった。

 同時に、トモルは明確な敵というのを、おそらく初めて意識した。



 今までは、貴族や教会といった勢力そのものを相手にしていた。

 それはそれで間違いはないのだが、その中でも中心になってる人物などは見えてこなかった。

 全体を主導してる者。

 作戦をたてる者。

 実働部隊を動かす者。

 後方支援として必要な物資などを調達する者。

 そういった要所にいる個人などは見えてこなかった。

 なので、どこを攻撃すれば相手の動きが滞るのかが分からなかった。

 こういった所にいる者を狙えば、その分相手の行動も鈍る。

 そうしたかったのだが、それが今まで出来なかった。

 組織や集団全体を攻撃するしかなかった。

 しかし、今回聞き出した情報でそれが若干緩和された。

 相手がいるとあらためて認識する事が出来た。



(藤園ヒロミね)

 明確に出てきた大物の名前。

 それを記憶に留める。

 貴族の中でどういった立ち位置なのかはまだ分からない。

 スミレの言葉から、それなりの位置にいるとは思うのだが。

 まだ情報が少なくてはっきりとした事は分からない。

 貴族子弟の中ではかなりの地位にいるのは間違いないが。

(このあたりの情報も欲しいところだな)

 今後やる事も見えてきた。

 統治者として現役の貴族だけではなく、その子弟も監視対象とせねばならない。

 一気に手間が増えた事で面倒が拡大していく。

 それらも今後巡って色々と聞き出さねばならない。

(面倒だな)

 それも、自分のやりたいようにするための経費と思って飲み込むしかなかった。

 相手の言いなりになるよりはマシなのだから。

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