251回目 教会が無いなら、代わりを作れば良いじゃない 3
一カ所が改宗をしたら、あとは一気に進んだ。
何カ所からの領主が改宗をしたら、そこに挟まれた領主も改宗をしていった。
トモルの領域を中心とした地域が改宗をしたら、隣接する領主も改宗をしていった。
もとより教会のやってる事に嫌気がさしていた者達が多い。
これを絶好の機会として改宗していった。
当然教会は打ち壊し。
神官などの従業員も縛り首。
トモルが提唱した神社形式の社を建立し、新たな信仰に変更していった。
民衆も同様の動きを見せていった。
彼等とて自立する可能性がある所を優先したかった。
親ならば子供が自活出来るのを望む。
部屋住みの冷や飯ぐらいの立場の者は、自分の生きられる場所を望む。
そんな彼等にとって、トモルの領域で働ける可能性は垂涎だった。
それと宗教を天秤にかければ、実益を優先するのは当然である。
改宗を拒む者達もいたが、そうであれば接触を拒まれるだけであった。
一部地域限定ではあるが、新宗教が多くなった地域でのそれは孤立を意味する。
今まで教会がしてきた事を、今度は教会がやりかえされる形になっていった。
その為、日常の生活にも困窮する事になっていった。
教会を頼ろうにも、それは領主らによって潰されている。
すがる相手が存在しない。
となれば、今いる場所から逃げるか、そのまま朽ち果てるしかない。
教会の宗教に所属する者達は、最悪の二択を選ぶしかなかった。
この動きは拡大していき、新宗教の勢力は各地を飲み込んでいく。
教会のしていた事が表に出ていったのはそれだけ大きな影響があった。
もちろんトモルが各地の教会の神官達の精神を操作した結果である。
たゆむことなく、出来る限りあちこちの教会に出向き、正直にやってきた事を暴露するよう仕向けた。
その結果、各地で次々に信頼や信用を失っていった。
そこに乗り込んでいくだけなのだから、新宗教として楽なものである。
生活も新たな勢力圏で出来るのだから、教会からの排斥、異端とされる事を恐れる事もない。
むしろ、孤立するのは教会の宗教に所属している者達になっていった。
ただ、上位の貴族には改宗がおよばない。
教会の総本山である大聖堂とつるんでるのだから当然ではあるだろう。
こうして国は上層と下層とで分断されるようになる。
また、トモルの領域から遠く離れた所は、改宗が進まない。
そこまでトモルが足を延ばすのが難しいからだ。
トモルもやる事があるので、教会にだけ関わってるわけにはいかない。
それが改宗の限界になっていった。
同時にトモルの影響力の範囲にもなる。
そこをどうにか突破したいが、こればかりは簡単にはできなかった。
なので、さしあたって目の前にある問題を片付ける事にした。
トモルにとって最も近くにある問題。
ほぼ唯一残った改宗してない貴族。
柊家の上位に位置する森園家である。
もう必要がなくなったので、これらには退場してもらおうと思った。




